矢野顕子&上妻宏光/二重奏


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メンバー
2015年5月29日(金):ビルホードライブ大阪
2015年5月30日(土):ビルホードライブ東京

button メンバー

上妻宏光(太棹三味線, vocal

1973年生まれの、若手を代表する三味線プレイヤー。2001年のソロデビュー前には、ロックバンド「六三四Musashi」のメンバーでもありました。一曲毎に、丹念なチューニングが必要な、不便な楽器担当。

矢野顕子(piano, vocal

演奏前のチューニングは不要。そこにあるのを弾くだけという、便利な()楽器担当。

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button 2015年5月30日(土)@ビルボードライブ東京

buttonセットリスト

1st Show / 2nd Showとも、同じ。
  1. こきりこ節(富山県民謡
  2. 弥三郎節(青森県民謡
  3. 上妻さんソロ / 津軽じょんがら節 旧節(青森県民謡
  4. 上妻さんソロ / 津軽じょんがら節 新節(青森県民謡
  5. 矢野さんソロ / 海のものでも、山のものでも
  6. 矢野さんソロ / いい日旅立ち
  7. 田原坂(熊本県民謡
  8. 斎太郎節(宮城県民謡
  9. Solitude(上妻宏光
アンコール
  1. ふなまち唄

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矢野さんは、いつもの通り、舞台向かって左のグランドピアノに。黒のスーツ姿の上妻さんは、向かって右にスタンバイ。三味線を肩にかけ、立って演奏するスタイル。三味線用のマイクが低い位置にセットされていて、上妻さんの足下には音響を操作するフットスイッチが置かれている。一見、ギタリストと共演という雰囲気のステージだ。

一曲目、上妻さんがメイン・ヴォーカルを取り、矢野さんのピアノをバックに、有名な民謡「こきりこ節」でスタート。矢野さん側のモニタースピーカーに、上妻さんの声が返っていないというトラブルがあったみたいだが、そこは、矢野さんの80年の経験でリカバー。

二曲目は、矢野さんがヴォーカルを取る。上妻さんの洗練された三味線の音色と、津軽訛り全開のヴォーカル、そこに絡むジャズっぽいピアノの重なり具合が絶妙だ。唄の内容は「色々と世話してもらった末に、ようやくもらったお嫁さんと、うまくいかない…」という、"universal issue"だそうです。

ここで、一旦、矢野さんが退場し、上妻さんのソロ。津軽じょんがら節には「旧節」・「中節」・「新節」の三種がある(リズムが違う)という説明から、「旧節」と「新節」の二曲を披露。特に「新節」でのアクロバティックな速弾きには、場内から自然に拍手がわき上がる。

続いて、矢野さんのソロコーナー。今日は、日本的な曲ばかり演奏していることを意識してか、「いい日旅立ち」の終盤『世界のどこかに』の歌唱に、特に力が入っているようだ。

上妻さんの思い入れが強いという「田原坂」の後、「ワンで叩いて、ツーで揉む」民謡流の手拍子のレクチャーを受けた会場と一体となって「斎太郎節」(「大漁唄い込み」の一つですね)。大いに盛り上がる。

本編ラスト「Solitude」は、上妻さんが2002年のソロアルバムに収録した自作曲に、今回、矢野さんが歌詞を付けたもの。津軽三味線の印象を変えようという思いが込められた曲ということで、本当に、民謡とは全く印象が違う美しいバラード。上妻さんの三味線の奏法も、バチで叩きつけるものではなく、クラシックギターを思わせるような優しさだ。

アンコールは、矢野さんの「ふなまち唄」。後半のねぶた祭の「ラッセーラー」のかけ声を、会場と一緒に大盛り上がりで終了。

2nd Showの開演前、かなり大きな地震が起きる。照明の直下の席の人は、一旦、退避するほどの揺れだった。一時間ぐらい発生が前後していたら、演奏の最中の地震ということになり、かなりのパニックになっていたかもしれない。しばらくは、館内放送が何度も繰り返される落ち着かない雰囲気にはなったが、幸い、5分ほど遅れただけで、2nd Show、無事、スタート。

演奏曲は1stと一緒だが、ノリは明らかに2ndが上。特に、「海のものでも、山のものでも」は、矢野さんが「ニューオリンズ風」に挑戦したファンキーなアレンジで、とても楽しかった。ただし、演奏する方は大変だったようで「もう二度とやらない」かもしれないそうだが。

「斎太郎節」の盛り上がり、「Solitude」の沁み具合、そして「ふなまち唄」での会場との一体感。どれも素晴らしく、大満足で2nd終了。

果たして、どんな演奏になるのか全く予想がつかなかった三味線プレイヤーとの共演。結果は、まさに「化学反応」が生じたかのような、楽しく、かつ、心に沁みる音楽の連続だった。是非、また機会を作って共演していただけたらな、と思う。夏の野外フェスなんて、良さそうだよなぁ。

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