Blue Note Tokyoの金曜の2nd Showと土・日に行ってきました。行けなかった金曜1stは、メールでいただいたセットリストを使わせていただきました。誤りのご指摘、追加情報等あれば、送って頂けると助かります。
メンバー | |
2008年8月1日(金) | 19:00 - / 21:30 - |
2008年8月2日(土) | 19:00 - / 21:30 - |
2008年8月3日(日) | 18:30 - / 21:00 - |
まもなく発売の矢野さんの新アルバムに参加。本人も、Marc Ribot's Ceramic Dogの名義でアルバム「Party Intellectuals」を発売したばかり。The Lounge Lizardsのメンバーだったことでも有名なギタリストは、ホテルとブルーノート東京を歩いて往復する健康志向の方みたいです。
まもなく発売の新アルバム。糸井重里氏の提案では漢字で「顕子」だったタイトルを、誰でも読める「akiko」に変更したそうです。(字面が似た他のミュージシャンと勘違いして買っちゃう人がいることを期待している?)。
今年のオリジナル・カクテルは「よしつね」。生姜のワインを使っているらしいのだが、命名の理由については、本日は明かされず。
初日で、まだペース配分が掴めていないせいもあるのか、定刻をやや遅れて2nd Show開演。一曲目、Japanese Girlの収録曲からスタート。Marc Ribot氏のプレイを聞くのは初めてだが、鋭角的に突き刺さってくるギター・サウンドは、これまでの矢野さんとギタリストとの共演とは、かなり違う。もちろん、昨年までの「さとがえる・トリオ」の音とも全然違う、まさに、新バージョンの矢野顕子による気合いの入った演奏、という感じだ。以前にも披露したことがある「しまった」の後、最初のMCだったが、この時点で既に息切れしている矢野さん。
カントリー曲「Saginaw, Michigan」ではバンジョーを演奏するなど、曲毎に様々な音色を聴かせるMarc Ribot氏。幅広い演奏力を持ったギタリストだ。
本編ラストは、昨年、さとがえる・トリオで演奏したLed Zeppelin。全体のアレンジは昨年のものと同じ傾向だが、やはりギターが入ると、ひと味違う。
新曲の多かった公演だったが、アンコールラストは、最近の定番曲「ROSE GARDEN」。しかし、これも今までの演奏とは趣が違う。ピアノとギターが緊張感をはらんで絡み合う長い間奏が続き、そして、溜まったエネルギーを解き放つような終盤の盛り上がり。とても印象的で、バージョン・アップした矢野さんを満喫した公演となった。
二日目。カクテル「よしつね」の命名は、単に男の子の名前という理由だったらしい…(去年まで、「蜜っちゃん」・「貴志子」など女性名だったので)
昨日の2nd Showを観た時点では、初めて組むギタリストと一緒なので、それほど多くのレパートリーが無い = セットリストに変化が無いのでは、と思っていたのだが、これはMarc氏の実力を全く侮った考えだった。昨日聴かなかった曲が次々と出てきて、嬉しい驚きだ。昨日も演った曲も、さらにパワーアップしている。
また、昨日は後ろの方の席だったが、本日の1st Showは、矢野さんの手元がはっきり見える距離の席だった。そこから見ると、矢野さんの指使いは、いままでとは違う力強さが溢れているように感じる。パワフルなギター・サウンドと対峙するため、フィジカル面の強化も含めた、徹底的な練習をされたのではないだろうか。
ということで、矢野さん本人も「ケダモノ」と表現する二人のミュージシャンが、力をぶつけ合う演奏の迫力は増すばかり。特に、2nd Show、アンコールでのRose Gardenの演奏は、ひたすらすさまじかった。圧倒的な緊張感の中、延々と繰り広げられる火花散るインプロビゼーションのような間奏と、そこから歌に入っていくところの二人の息の合い具合。ただただ、凄い。
昨日の2nd Showで、さらなるスイッチが入ったかのような演奏を聴かせてくれたので、期待した最終日だったが、こちらの期待を遙かに上回る演奏だった。とにかく、1st Showの一曲目から、パワー全開。
「股旅(ジョンと) 」での、矢野さんの啖呵の切れ具合、Marc氏のソロの熱演、「変わるし」での矢野さんのスキャット、そして「ROSE GARDEN」演奏直後、矢野さんの口から発せられた雄叫び。これまでのブルーノート公演で感じていた「1st Showは抑えめ」という印象を吹き飛ばす大熱演だった。
当然、その熱気は2nd Showでも加熱する。1st Showとは一転、アコースティック・ギターで演奏されたMarc氏のソロも含め、熱演に次ぐ熱演だったが、ラストの「ROSE GARDEN」が、想像を超えた凄さだった。まさか、最終日・最終公演で、これまでとアレンジを変えてくるとは! それがまた、かっこよく決まるのだから、二人の実力と信頼の強さを見せつけられたようだ。
三日間を通し、矢野さんの演奏力の充実ぶりに驚かされたが、やはり、Marc Ribot氏の存在感も大きかった。ギター・テクニックだけでなく、本当に深い部分で矢野さんの音楽を理解し、愛しているのだろう。二人が叩き出す音の間に醸し出される緊張と調和の波が、かっこ良いやら気持ち良いやら。新アルバムを全曲聴くのが、楽しみだ。
上野さん、ありがとうございました。