IN/OUT1999/11/21


繁華街には、そろそろクリスマスの飾り付けが目立ってきました。ツリーがあって、サンタクロースがいて、トナカイが橇を曳くのも、万国共通。さすがに、雪を模したデコレーションはあまり見かけませんが。いずれにしても、熱帯にサンタクロースの厚着は似合わないです。

宗教から言うと、中国系、マレー系、インド系、各住民毎に、キリスト教以外の宗教が多数派となっていて、キリスト教徒は少ないのだけど、そういうのに拘らず、クリスマスで街が賑わうのは日本と同じです。他の西洋かぶれの催し、バレンタインデーやハロウィン等には、どうも違和感を覚えることも多いのですが、クリスマスは私も無宗教なりに楽しんでしまいます。無邪気に明るいものから、しみじみしたものまで、沢山のクリスマス・ソングがあるってのが、良いっすよねぇ。


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The Hotel New Hampshire  (99.11.18)
昔、観たとき、ラストシーンでぼろぼろ涙が出てきた記憶があり、今回、DVDで再見。

最初に観た時には、何故、ラストで泣けるのか、他人にうまく説明できないという記憶もあった。だって、登場人物は揃いも揃って変人ばかり。二時間足らずの映画の中で、強姦事件があるし、飛行機事故も起こるし、爆弾テロに巻き込まれるし、近親相姦があって、自殺もある。熊も死ぬし犬も死ぬ。.....。粗筋をまとめちゃうと、とんでもなく波乱に満ちてるんだけど、決して、その波瀾万丈ぶり自体が泣けるポイントじゃないと思う。じゃぁ、何が? ってのがうまく言葉にならない。

さて、改めて見た結果、やはり、ラストシーンで涙出まくり。何なんだろ? 淡々と、だけど、とんでもない出来事が次々と起こるストーリーは記憶通り。演出も、それほど突出して素晴らしいという事は無いと思う。だけど、ツボを突かれちゃうんだよなぁ。"Life is serious, but...."って事なんだよねぇ。やっぱり、うまく説明できないや。

原作は、John Irving。Nastassja Kinskiが熊のぬいぐるみを着て生活しているという、羊男状態だったりして、村上春樹ファン的には、見て損は無い映画だと思う。私のように号泣してしまう人がいるのかは疑問ではあるが


The Blair Witch Project  (99.11.20)
こっちは映画館で観た新作。確か、400万円ほどの製作費で、200億円以上の興行収入を上げた、と評判になっている恐怖映画である。

低予算ながら大健闘、というと、"Cube"が記憶に新しいところだが、あちらが、最小限のセット内で物語を完結させることでお金を節約したのに対して、"The Blair Witch Project"は、ドキュメンタリーのように見せることで、予算の制約をクリアしている。

魔女伝説に関するドキュメンタリー映画を製作中の三人の学生が行方不明になり、一年後に撮影済みのフィルムとVTRが発見された。それを編集して完成させたのがこの映画。という作り込みになっているのだ。元ネタが、学生の自主制作の白黒映画と、家庭用ビデオで撮影されたメイキング風景のVTR、ということだから、きちんとしたライティングも必要ないし、画面が手ぶれしていたって構わない。巧い着想である。

この作り込み方が半端じゃなくて、よく言えばリアル。逆に言えば、劇映画らしい演出は、表面上、出てこない。恐怖映画ではあるが、特撮やCGはおろか、直接的なショッキング・シーンも無い。超自然の邪悪な存在を感じさせるシーンはいくつもあるのだが、派手さは全くない。ってことは、上映中、かなり退屈だったりする。実際、途中で退席する人がちらほらいた。私も、これは7ドル、ドブに捨てたな。評判だけの映画だったな。と、すっかり Outの方に書くつもりでいた。

が、ラストシーンを見終わった直後から、じわじわと寒気がしてくる。観ている最中は怖くて、見終わってから、あぁ面白かった、と思わせる、普通の恐怖映画とは全く違う、マジな恐ろしさがこみ上げてくるのだ。最後の最後まで、基本設定を忠実に押し通したストイックさが、過去に例の無いような恐怖感を醸し出してくれる。これは、製作者達にしてやられた。



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Out of Rosenheim  (99.11.21)
邦題は「バグダッド・カフェ」。主題歌「Calling You」は良い曲だと思うし、映画そのものも評判が良いのだが、今まで観そびれていたため、先日、日本でDVDを購入した。

悪くは無いんだけど.....。ストーリーも途中までは良い感じだし、やや気負いすぎとも思える映像も、頑張っているとは思う。ただ、ラストがどうにも甘すぎるような気がして、興ざめしてしまった。お伽噺と割り切れば良いのだろうけど、だとしたら、是非とも、「バグダッド・カフェ」なんて邦題じゃなくて、原題のままにしておいてもらいたい。その方が、ニュアンスが伝わると思う。いずれにしても、音楽と出演者に恵まれている分、過大評価されているんじゃないかなぁ?



改めて、自分がここに書いてきたネタを振り返ってみると、映画館で観た映画は、結構、網羅しているのに、本やCD、あるいはTV画面で見た映画については、ほとんど記録していません。映画館に行く、というようなイベント性が無いと、なかなか書く気が起きないのです。"The Hotel New Hampshire"については、是非書いておきたい、と思ったので、今回はDVDで見た映画についても書いてみましたが。

もっとも、映画の場合、ストーリーや映像、演出、出演者、音楽、など、様々な要素があって、素人でもご託を並べやすい、というのも有るわけです。

個人ページなんて、所詮、ご託のお披露目の場、なんだから、いいじゃん、と開き直る今日この頃ですが、えーと、ご託抜きで、今週読んだり聴いたりしたものを記録。

あれこれ書かず、ひたすら羅列形式というのも、日記代わりのページとしては有りかな、という気もしてきたけど、それじゃ単なる露悪趣味で終わっちゃいそうだな。


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