IN/OUT1998/12/5


通りのあちこちに"Fresh Trees and Wreaths"と書かれた看板が目につくようになりました。クリスマス・ツリーの直販場の案内です。Freshというぐらいだから、当然、本物の樅の木。小さいといっても、6フィートぐらいはあります。たとえアパートでも、これぐらいのツリーを飾れるところが、さすが米国の住宅事情という感じです。

雑貨屋に行っても、クリスマス関連の商品がすっかり増えています。豆電球がずらっとついたケーブルを沢山売っているので、一瞬、ツリーの飾りかと思ったのですが、「屋根への取り付け具」を一緒に売っていました。屋根の縁に、ぐるっと飾りつけるための電球ですね。

気合いが入った家になると、既にこの時期から、屋根や壁はもちろん、植木にも電球を付けたり、ポーチに雪ダルマやトナカイの光るオブジェを置いたりしています。アメリカン・スタイルの家だと、光の縁どりが実に良く似合うのですが、個人の家であそこまでやるパワーには驚かされます。派手な飾り付けをする家が一軒あると、近所も対抗意識を燃やすせいか、ストリートごと「キラキラ状態」になっているところがあり、夜、そこを通るのが楽しくなってしまいます。商店街とかじゃなくて、静かな住宅地、というところが、雰囲気をさらに良くしています。

と言いながら、使い捨てにせざるを得ない生木の飾りはもったいないし、あれだけのライティングをするとなると電気の消費量も馬鹿にならない、と考えるのは、無粋ですかねぇ。


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Official 忘年会  (98.12.3)
勤務先のHoliday Partyが行われた。実際には、二か月前に閉鎖になり、現在は数名のスタッフが残務処理をしているだけの会社なのだが、会社設立メンバーと、閉鎖後の処理に当たってくれたメンバーを招待したため、50人近い(皆、配偶者を同伴)出席者となった。

例年だと、バンドを呼んでダンスしたり、カジノテーブルを用意したり、といったアトラクションもあったらしいのだが、今回は、そういうのは無し。初めに一時間ほど、立食形式で歓談してから、テーブルについてディナー。ちょっとしたスピーチの後、また歩き回っての歓談。

お酌とか、儀礼的な挨拶とか、たちの悪い酔っ払いといった、「宴会の暗黒面」が存在しないのが気楽で、快適だった。もっとも、同伴者無しの日本人出席者としては、壁の花にならないよう、話の輪に入るのに必死だったり、帰りの運転があるので、せっかくのオレゴン・ワインを堪能できなかったり、という厳しい面もあったのだが.....



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嵐が丘に暮らす 
秋が深まるに連れ、冷たい雨と風の日がすっかり増えてきた。そして、夏の間は気がつかなかった我がアパートの欠点を思い知らされた。風の音が凄いのである。丘の上に建っているだけに風の強さが街中よりも数割増しである上に、周囲にかなり大きな木々が生えているため、恐怖感を覚えるほどの激しい音がするのである。それを補って余りある眺望の良さがあるので、この部屋を選んだことを後悔する、という訳では無いのだが、それでも怖い。

まぁ、音には慣れてくるのだが、あまりに風が強いと、今度は「停電」という危機を感じてしまう。樹木の多いオレゴン、倒木による電線の破損、というのは良くあるらしく、確かに激しい風が吹いているときに、部屋の明りがふっと瞬間的に暗くなったりする。これには冷や冷やさせられる。照明はもちろん、暖房も給湯も調理も電気に依存しているので、この寒さで停電というのは、相当厳しいはずだ。

嵐のような音を聞きながら、Kate Bush嬢の"Wuthering Heights"でも、なんて洒落こんでもいられないのである。


Psycho  (98.12.5)
ヒッチコックの名作「サイコ」のリメイクである。オリジナルが製作された1960年と違い、今では「多重人格」や「猟奇殺人」は、エンターテインメント界でもすっかりお馴染みの題材となっている。B級映画から「羊達の沈黙」のような傑作まで、様々な映画が作られている中で、この古典にどのような現代的な味付けを施すのか、監督の腕の見せ所だと、期待と不安を持って観に行ってきた。

最初に映し出される日付から、舞台を1998年に移していることが示された時には、期待も高まったのだが......。結局、最後にヒッチコックへの献辞が映し出されたことで明らかになったように、「ヒッチコックの作品が好き」だから「カラーにしてみました」というだけの、野心も自己主張も感じられない映画だった。

シナリオもほとんど同じなら、音楽・音響もオリジナルのものを流用。画面の色調も、あえてクラシックな雰囲気を狙っていると思われる。製作意図が全く理解できない。これでは、最新のテクノロジーを使って、オリジナル・サイコに着色してリバイバル上映した方がましだ。いや、白黒のままで充分か。

それにしても、実に良くできた、怖い話である。例のシャワーシーンの恐ろしさ(一瞬、工夫しようとした形跡が見られるものの、オリジナルとほとんど同じ演出)を見るにつけ、40年近く前のヒッチコックの才能を再認識させられる。

と、本編はがっかりだったのだが、待望の"Star Wars: Episode I - The Phantom Menace"の予告編を観る事ができたのが収穫だった。



moving付録 : 今週のお引越し

家具処分計画そのいち
会社負担で運べる荷物の量は、あまり大きくないし、ここと同じくらい広い部屋に住める可能性も低いので、半年前に買い揃えた家具を次の任地へ持って行くのは、あまり現実的ではない。ついこの前、閉鎖になった会社からかなりの量の備品類を購入していたので、もう無理かなと思いつつ、部下に話して見ると、是非、見たいという。どこにそんな収納スペースがあるのか、あるいは横流しするルートがあるのか、とにかく、ベッド、ラブシート、PC用机、ハロゲンランプ、掃除機あたりを引き取ってくれることになった。



来週は、バケイションをとって矢野顕子さんのコンサートへ行きます。モバイル環境を持っていくかどうか、ちょっと迷っているので、次の更新まで間が空くかもしれません。

それにしても "mobile"って言葉。「モバイル」と表記するとすっかり電脳用語の雰囲気だし、「モビール」だと動くオブジェのことになるし、「モビル」だと機動兵器関係になる。石油会社は最後のeがつかないんだっけ。一般的な発音だと、形容詞では「モウバル」、名詞では「モウビィル」が近いと思うんだけどなぁ.........


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