IN/OUT1998/10/3


日本のCD屋や音楽番組で常々不満に思っていたのが「洋楽」と「邦楽」の区別です。「ロック」や「ジャズ」といった音楽のジャンル以前に、まず、演奏者の出身国が日本か否かで分ける、という発想が格好悪い。さらに最近の「J-Pop」なる言葉になると、もう、情けなくなってきます。欧米のミュージシャンと同じ地平に立つことを自ら放棄して、狭い井戸の中で満足しているかのような印象を受けてしまいます。同じような事は、小説の「翻訳物」というジャンル分けでも感じてしまいます。

米国のCD屋、本屋では、そのような分類はされていません。もちろん、米国産の物が圧倒的に多い訳ですが、その中に、日本人の作品も当たり前のように混じっています。一枚もアルバムを聴いたことが無いのに、Pizzicato FiveのCDを見つけて嬉しくなったり、一冊だけ読んで二度と手にすることが無くなったにも関わらず、Banana Yoshimotoの新刊が平積みになっているのを見て誇らしく思ったり。「洋」と「邦」を区別するなんて格好悪い、と言ってる割には、我ながら小市民的リアクションですが。

で、今日は、さらに意外なジャンルでがんばっている日本出身の有名人(?)を発見してしまいました。殺風景な部屋にポスターか絵の一枚でも飾ろうか、と店で物色していると、映画のポスターや洒落たリソグラフに混じって、学ランを着て、Hi-liteを吸っている、直立した猫が......。日本で見かけなくなったと思っていたら、こんなところにいたんですね。「なめ猫」!


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坊ちゃん刈り・アメリカン  (98.10.3)

髪を切りに行ってきた。前回は、日本人美容師のいる店に行ったのだが、今回は近所の普通の美容院に行ってみることにした。

ダウンタウン辺りのファッショナブルな美容院だと、また状況が違うのかもしれないが、ヘアカット 11.95ドルのごく普通のこの美容院は、日本と比べて非常にシンプルな印象である。美容師は特に制服のようなものは着ていないし、店内の設備もすっきりしている(というか、日本の散髪屋の椅子とかシャンプー台って、凝りすぎだと思う

肝心の作業の方も、極めてシンプル。最初にシャンプーして、ちゃっちゃと髪を切って、おしまい。追加料金を払えば、最後にドライヤーをかけてくれたりもするみたいだが、とにかく、髪を切った後のシャンプーが無い。首筋がちくちくする。

家に戻って、改めて見てみると、前髪の処理がシンプルと言うか、いい加減と言うか、すとんと切っただけで、下手くそな坊ちゃん刈りという感じがしないでもない。まぁ、こんなものは1週間もすれば気にならなくなるんだからと自分を慰めながら、それでも、ちょっと良い気持ちなのである。オーバーに言うなら、「日本人専用」というものにこだわらなくて済む身軽さをまた一つ獲得できた、ということが中々気分が良いのである。



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看板に偽り有り  (98.10.3)
「Rick Wakeman's Greatest Hits」というCDを見つけた。おなじみ、Roger Deanが描くジャケットの二枚組みで、収録曲を見ると一枚目がYESのナンバー。二枚目が彼のソロ・アルバムからのナンバー。特にCDでは持っていない「地底探検」からの曲が多く収録されているのが嬉しいと思い、即購入。

が、これは大失敗。何と、再アレンジ・再録音盤だったのだ。各メンバーの超絶テクとコーラスが特色だったYESのナンバーが、キーボードだけのインストゥルメンタルになると、日本のスーパーマーケットで流れている安っぽいBGMのようである。「地底探検」も、あの大袈裟なオーケストラやコーラスがあってこその作品である。

このアルバムが発売されたのは1994年らしい。すでに、Rick Wakemanの才能は、時代に追いついていなかったのだ、と、そのシンセサイザーの妙に薄っぺらい音色を聴いていて、悲しくなってくる。Rick自身が作者にクレジットされていないYESの作品を、キーボードだけのインストゥルメンタルとして再録音して「Rick Wakeman's Greatest Hits」と銘打つ厚顔無恥さも、トホホである。こういうことで、過去の栄光を汚して欲しくないものだ。



スーパーマーケットの店先に大きなカボチャが山積になっていました。文字通りの山積で、ちょっと想像を絶する量です。1個 10セントという値段から見て、食用としての価値はなさそうです。ハロウィンのランタン用ですね。すっかり肌寒くなってきたし、雨も降るようになったし、もう、すっかり秋です。それにしてもハロウィン、うちのアパートにも、子供たちはまわってくるのか? 当日はお菓子を用意しておいた方が良いのか?


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