IN/OUT (2025.8.17)

八ヶ岳高原夏の矢野顕子強化月間、スタート。まずは、八ヶ岳高原音楽堂での公演。今年も、公演前に音楽堂の周囲を散策。

アウトドア好きの人には笑止と言われそうですが、徹底したインドア派の私にとっては、貴重な年に一度のピクニック気分でした。例年の公演が9月頃だったので、今年は、若干早めのスケジュール。そのため、咲いてる花や、集まっている昆虫も違っていて、それもまた新鮮。八ヶ岳高原


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「まだまだざわつく日本美術」 @ サントリー美術館25.8.6

サントリー美術館「心がざわつく」ような展示方法や作品を通して、「作品を見たい!」という気持ちを高めるという趣向の展覧会を観に、サントリー美術館に行ってきた(2021年に開催した「ざわつく日本美術」の第2弾ということだが、私は第1弾は未見)。

今回のテーマは「ぎゅうぎゅうする」「おりおりする」「らぶらぶする」「ぱたぱたする」「ちくちくする」「しゅうしゅうする」の6つ。

サントリー美術館まず、プロローグとして展示されているのは、日本の三大性愛絵巻に数えられている「袋法師絵巻」。ぱっと見、分からないが、中央の白い着物を着た女性の後ろ、袋の中に法師が隠れている。というか、男子禁制の尼御所にこっそり招かれて、袋に隠されている。

サントリー美術館この法師、その後、女主人だけでなく、侍女たちとも、精気が抜けるまで…

サントリー美術館いきなり、ざわつくプロローグの後、第1章「ぎゅうぎゅうする」。
「○○尽くし」のタイプの作品が並ぶ。写真は、江戸時代の「色絵寿字宝尽文八角」。その展示方法の特徴は、何が、どこに、どう表されているのか、くどいほど説明した文を、ぎゅうぎゅうに配置した「キャプション尽くし」!

サントリー美術館楽しかったのは、第2章の「おりおりする」
屏風の展示だ。それも、日常生活でパーテーションとして使われていたという観点で、必ずしも、整然とした屏風折りに拘らない展示方法。目から鱗である。

サントリー美術館ミニチュアの屏風を、自分好みに折り曲げられる体験コーナーもある。楽しい。

第3章「らぶらぶする」
恋愛模様を描いた絵巻物などが展示されている。といっても、鼠が、清水寺の観音様のご加護で人間の姫君と結婚したものの、正体がバレて姫君に逃げられ、彼女の嫁入り道具を並べてさめざめと泣き暮れる「鼠草子絵巻」など、ぶっ飛んだ内容が多い。絵巻物って、美術作品としてだけじゃなく、エンターテインメント作して、もっと脚光を浴びて良いと思う。

サントリー美術館第4章「ぱたぱたする」
立体作品と、そこに描かれた画像を展開図のように並べたものを同時に見せるという趣向。上手い見せ方だなぁ。

他に、津軽こぎん刺しという技法で作られた布や着物を集めた「ちくちくする」や、
コレクターが集めた収集品(彫刻家・朝倉文夫が集めたガラスや、市井の皮膚科医が集めた髪飾り用具等々)を並べた「しゅうしゅうする」。

サントリー美術館そして、プロローグに登場した袋法師が、最終章と、
サントリー美術館出口にも登場。

地味な印象の日本美術も、見せ方の工夫で、これだけ楽しくなる。見事な展覧会だ。


「ギメ・ルーム音楽会『ブラームス四大交響曲』」 @ インターメディアテク25.8.15

インターメディアテク丸の内JPタワー(KITTE)内にある、日本郵便株式会社と東京大学総合研究博物館が協働で運営をおこなっているインターメディアテク。東京駅近辺で時間を潰すのに便利な場所だが、以前、訪れたとき気になったのが、天井から吊り下げられた渦巻き状のスピーカー。小さいのに、中々良い音で鳴っていたのだ。

それが、渦巻き型スピーカー「トロッカス」。その改良版が8月から公開されるということで、改めて聴きに行ってきた。

インターメディアテクトロッカスは、バックロードホーン型のスピーカーで、ホーンの根本にツィーターが組み込まれている。そして、信号音からアルゴリズムによって導出された逆位相をもって音色を整えるという。

因みに、「トロッカス」は、日本近海に生息するニシキウズガイの学名「Trochus maculatus」から命名されている。この形状と名前は、伝説の超弩級スピーカー、 B&Wの「Nautilus」を思い出さざるを得ない!

インターメディアテクただし、「音楽会」と銘打たれているが、特別な場所が設けられているのではなく、インターメディアテクの展示室の中で、音量大きめのBGMという雰囲気。鳴っているのは、Johannes Brahmsの”Symphony No.1”から”Symphony No.4”(私が訪れたときは、No.2)。小澤征爾が指揮するサイトウ・キネン・オーケストラの演奏。

左右、2台のスピーカーの中間辺り、他の観覧者の邪魔にならないように立ち、たっぷり、聴かせていただいた。弦の中域の響きと音の定位が綺麗。低音は、さすがに弱いが、サイズから考えれば、たいしたものだ。ストレスを感じない音質と、演奏の素晴らしさに、気がつけば、1時間、立ち尽くしていた。なんだか、不審者のようで申し訳ない。

意外に、リスニング・ポイントで音が変わる。真下で聴くと、かなり硬質な印象だ(メインのユニットが下向きだから、当然か)。クラシック以外にも、色々な音源で、かつ、ちゃんとした試聴環境で聴いてみたい。

インターメディアテクオーディオ沼は、やはり、深くて面白いなぁと思う。が、それ以上に、インターメディアテクというクラシックな雰囲気の博物館で、怪しげな標本たちに自然に溶け込むスピーカーの佇まい自体が、何とも味わい深い。



小海線の車窓から八ヶ岳高原音楽堂の最寄り駅は、小海線の野辺山駅。道中、車窓から野辺山宇宙電波観測所の45メートル電波望遠鏡が見えます。一度、行ってみようと思っているのですが、今年は、名探偵コナンの聖地巡礼スポットになってしまい、かなりの混雑という噂…。確かに、野辺山駅にもコナン君のポスターがたっぷり貼られていました(ちょっと苦手なタイプのアニメなんだよなぁ…)。

ということで、こちらは来年以降に持ち越しです。