IN/OUT (2025.4.27)

大型連休直前。諸々、バタつく今日この頃です。


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"Cyndi Lauper - Girls Just Wanna Have Fun FAREWELL TOUR" @ 日本武道館25.4.22

日本武道館Cyndi Lauper、最後のワールド・ツアーの日本公演を観に、日本武道館に行ってきた。

私の席は、2Fスタンドのかなり後方。ただ、舞台に向かって正面に近い角度なので、武道館の急傾斜だと、意外にステージは見やすい。

”She Bop”から、パフォーマンス・スタート。彼女のライヴを観るのは2007年のSUMMER SONIC以来だ。その時に既に、ベテランなのに声量が衰えていないのが凄いという感想を持ったのだが、18年経った今でも、そのパワフルさは不変。そして、ここから展開されたのは、隅々まで見事に構成された、実に素晴らしいショーだった!

素晴らしいポイント、その1。もちろん、音楽としての楽しさだ。Cyndi Lauperのパワフルかつチャーミングな歌唱とダンス。ギター、ベース、キーボード、ドラムス、パーカッション、コーラス×2の7名のバックバンドの演奏も的確。そして、”FAREWELL TOUR"にふさわしい、捨て曲無しのセット・リスト。正直、私は、彼女の2枚目のアルバム以降は、熱心なリスナーとは言えないのだが、今回の選曲、耳馴染みがあって口ずさめる曲ばかりだ。

素晴らしいポイント、その2。彼女の誠実な人柄が溢れ出しているところだ。曲の背景となっている自分の生い立ちや信条など、かなり長目に語る箇所が何度かあったのだが、そこに通訳を入れ、自分の言葉が真っ直ぐ伝わるように心を砕いているのが分かる。その通訳も、いかにもCyndiが喋りそうな言葉をチョイスしながら、ステージの進行を妨げない、見事な仕事ぶりだ。

素晴らしいポイント、その3。ショーとして練りに練られた構成だ。Cyndiの衣装替えの間なども、観客を飽きさせない工夫がたっぷり。

素晴らしいポイント、その4。ヴィジュアル面の見事さだ。ステージの後方には巨大なディスプレイがあり、そこに様々な映像が映るのは、最近の大規模コンサートでお馴染みのスタイルだが、その映像が素晴らしいセンスのものばかり。映像、照明効果、派手な服装のCyndiとモノトーンの衣装でまとめたバック・バンド。これらが織りなす場面毎の色彩設計も完璧だ。さらに、事前に仕込まれたヴィデオだけで無く、ライヴ映像の映し方も、カット割りから背景処理まで、隙の無いカッコ良さ。また、”Time After Time”の時には、観客のスマホのライトを点灯させるという(最近よくあるパターンの)演出があったのだが、実はこれ、普通にやると、ライトはステージに向かって照らされるので、観客の目線では、あまり意味が無い。しかし、今回は、観客席に溢れるスマホのライトを、ステージ後方の巨大ディスプレイにリアル・タイムで映すことで、まさに360度、光に囲まれたような演出になる。これもまた、お見事。

素晴らしいポイント、その5。とてもありがたいアフターサービス。座席に置かれていたチラシなどと一緒に、今日の記念のチケットが同封されていたのだが、その裏面のQRコードからアクセスすると、本日のセットリストが反映されたプレイリスト(YouTube、Amazon Music、Spotify、Apple Musicから選べる)にアクセス出来る。終演の30分後には更新されていたので、帰りの電車で余韻を反芻することが可能なのだ。

ということで、それが、以下のセットリスト
1. She Bop
2. The Goonies R Good Enough
3. When You were Mine
4. I Drove All Night
5. Who Let in the Rain
6. Iko Iko
7. Funnel of love
8. Sally’s Pigeons
9. I’m Gonna Be Strong
10. Sisters of Avalon
11. Change of Heart
12. Time After Time
13. Money Changes Everything
--アンコール--
14. True Colors
15. Girls Just Want to Have Fun

特に、”Sisters of Avalon”からの怒濤の終盤は圧巻。本編最後の”Money Changes Everything”での完全燃焼の歌唱にこちらも燃えた(因みに、この曲の前に、自身が運営している女性の権利を守るためのファンド ”Girls Just Want to Have FUNdamental Rights Fund”の事を語ったのも、上手い!

さらにさらに、アンコールが、それ以上の素晴らしさ。”True Colors”は、アリーナ内に設えたステージで、虹色の布を宙に舞わせながらのパフォーマンス。そして、オーラスの”Girls Just Want to Have Fun”では、なんと、巨大ディスプレイに、赤の水玉模様が溢れる空間に佇む草間彌生が映る!そして、メンバーも全員、赤の水玉の衣装に着替えてのパフォーマンス。この曲が持つ、圧倒的なポジティヴさに見事にマッチしている。さらに付け加えるなら、武道館の2階席からだと、ステージ上に展開する赤の水玉の上に、武道館の天井から吊された大きな日の丸も視界に入って、より効果的。

ということで、Cyndi Lauper、つくづく凄いパフォーマーだと改めて感嘆!コンサートと言うよりも、徹頭徹尾、楽しいショーだった。


"Heretic"25.4.26

TOHOシネマズ日本橋Hugh Grant主演のスリラー映画を観てきた。邦題は、「異端者の家」。

主演と言っても、Hugh Grantは悪役。2人の若い女性が、末日聖徒イエス・キリスト教会=モルモン教の宣教活動のため、彼の家を訪れる(2人一組で自転車に乗って行動するという、モルモン教お馴染みのパターン)。彼は、妻も在宅中だからと言って2人を家に招き入れ、自らの宗教観を滔々と語り始める。その様子に違和感を覚えた2人は家を去ろうとするが、いつの間にか玄関は施錠され、携帯電話も繋がらず、2人は家に閉じ込められてしまう… というお話。

かつてはラブコメの帝王と呼ばれたHugh Grantが、狂信的な危険人物を巧みに演じているのが見どころ。サイコパスに囚われた女性の恐怖を描く映画ではあるが、前半は、自分ではイケてるつもりのおじさんが、若い女性に対し、上から目線で豊富な知識をひけらかす、まさに「マンスプレイニング」地獄。、Hugh Grantが、ときおりチャーミングな表情を見せながら語るので、初めのうちは、それほど嫌な感じはしないのが、徐々にサイコパス味が出てきて、じわじわ怖くなってくる。そして、後半は、2人の脱出劇。Hugh Grantと彼の家に隠された秘密が暴かれる。

Hugh Grantが語る宗教観は、中々に興味深い。さらに、話の中に、Radioheadの”Creep”が、The Holliesから”The Air that I Breathe”の盗作だと訴えられた話(さらに、Radioheadは、後に”Creep”を盗作したとしてLana Del Reiを訴えた)を持ち出したり、”Star Wars: Episode I – The Phantom Menace”のJar Jar Binksに言及するところなど、確かに博覧強記っぽいのだが、微妙に古い話題のせいで、若い2人には通じないところがミソ(モルモン教の宣教活動を実施しているのだから、19歳~20歳だろう)。

ただし、モルモン教=末日聖徒イエス・キリスト教会を公然と敵に回し、同時に、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にも喧嘩を売るような(ゲームの「モノポリー」を使った秀逸な例え話が上手い!)宗教の揶揄の仕方は、過激な抗議に遭わなかったのか、心配になってしまう。

オチは、少々弱いような気もしたが、とても良く出来たスリラーで、かつ、知的好奇心も巧みにくすぐってくれる映画だ。



とりあえず、ヒノキ花粉の飛散も気にならなくなるタイミングで連休を迎えられるのは、ありがたいことだと、毎年、思いますね。