IN/OUT (2023.6.11) |
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以前、海外出張&旅行の機会が多かった時代に愛用していたRIMOWAのスーツケース。今ではすっかり出番が激減。キャスターは加水分解して使い物にならず、死蔵状態になっていました。 そこに朗報、RIMOWAによる「RE-CRAFTED」なるプログラムがスタート。状態に関わらず、中古のキャスター付きアルミニウム製スーツケースを持ち込めば、将来の商品購入に使えるバウチャーと引き換えてくれるというプログラム。さっそく、大中小の三つのスーツケースを引き取ってもらいました。 最近のIN「大西順子トリオ with GREG HUTCHINSON & JOE SANDERS」@ブルーノート東京 (23.6.9)ジャズ・ピアニスト 大西順子の新しいトリオでの公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。これまでも共演経験のあるドラマー Greg Hutchinsonと、今回が初共演となる若手ベーシスト Joe Sandersによるトリオである。 ステージは、向かって左にドラムス、真ん中にベース、右にピアノ。大西順子は、例によって、観客に背を向けるスタイル。 3人が登場。この公演に通い詰めているらしき最前列の客と談笑しつつ、ポロポロとピアノを弾き始め、いつの間にかトリオ演奏になだれ込む。本人曰く「とち狂った曲」、Hasaan Ibn Aliの「Almost Like Me」で演奏スタート。確かに、聞き心地の良いメロディーや、単純なノリのリズムとは別次元の尖った演奏だ。特に、Greg Hutchinsonのドラムスは、タイミングも音色も、あまり聞いたことが無いタイプの尖りっぷりだ。ピアノとドラムスの個性的な音色の間を、スキャットも交えたJoe Sandersのベース・プレイが滑らかに埋めていく。このトリオ、独特のカッコ良さだ。 尖った演奏だけでなく、スローな曲では、どこまでも繊細に奏でる大西順子の表現力と、それを支えるリズム隊の息の合い方が心地よい。 アンコールは、Greg Hutchinsonが観客の手拍子を煽る。ストイックな演奏と、ご陽気なキャラクターのギャップも楽しい。大西順子とのコンビネーションも素晴らしく、中々に刺激的なトリオ演奏だった。 ”Peter Von Kant” (23.6.11)François Ozon監督の新作を観てきた。邦題は「苦い涙」。1972年のRainer Werner Fassbinder監督作品「The Bitter Tears of Petra von Kant(邦題「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」)」のリメイクである。タイトルは主人公の映画監督の名前。そして、友人役でIsabelle Adjaniもご出演! ほぼ全編、主人公が住むドイツのアパートを舞台にした室内劇。彼は、昔からの友人である大女優に紹介された美青年に心を奪われ、同居させる。業界で力を持つ有名映画監督である主人公は、美青年を俳優として成功させようと、あれこれと世話を焼くのだが、美青年は、わざと主人公の心をかき乱すような奔放な振る舞いを見せるようになる…。というお話。Fassbinder監督のオリジナルでは女性同士のカップルが主人公だったのを、Ozon監督版は男性同士に変更している。 凝ったアパートの内装と、それを切り取る画角の巧みさ。映像は、さすがOzon監督という美しさだと思う。ただ、ストーリーは弱いかな。美青年に翻弄される中年男性の苦悩は、情けなさを通り越して醜悪。そして、それが、ほとんんどギャグ映画のようなシーンにつながる。色々と深読みして芸術映画として観るよりも、捻くれたコメディとして観るのが正しいかもしれない。 セルフ・パロディとも言えそうな大女優役を演じるIsabelle Adjaniの存在感が見事。若い頃の彼女の美しさを崇拝していた者とすると、いささか微妙な気持ちになってしまうのだが… ドイツ企業らしい、サステイナブルなプログラムだし、自分と何度も旅した鞄が、上手く修理・再生されて、新しい持ち主と新しい旅に出てくれれば嬉しいなと思う一方で、いざ店舗に持ち込んで引き取って貰う時になると、貼ったままのシールやケースの傷に、ついつい感傷的にもなってしまう今日この頃です。 |