IN/OUT (2022.2.13)

先週の木曜日は、大雪の予報が出ていたものの、結局、自宅周辺はみぞれ程度でした。もうちょっと、テンションが上がる程度の降り方でも良かったなという気がしないでもない、今日この頃です。


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「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」@東京都庭園美術館22.2.11

東京都庭園美術館東京都庭園美術館に行ってきた。

展覧会のタイトル「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム(MODE SURREAL A Crazy Love for Wearing)」という言葉のカッコ良さに惹かれて出かけたのだが、そのコンセプトは「シュルレアリズムと、シュルレアリストたちと親交のあったElsa Schiaparelliなどのデザイナー。さらには、シュルレアリスムの感性に通ずるような作品群など、今の私たちから見た<奇想>をテーマに、16世紀の歴史的なファッションプレートからコンテンポラリーアートに至るまでを幅広く展示する」という小難しい物(Elsa Schiaparelliは、Coco Chanelと同時代のイタリア出身のファッション・デザイナー。「ショッキング・ピンク」という言葉は、彼女の考案だそうだ。そして、ファッションプレートとは、その時の最新ファッションを伝える銅板手彩色の版画のこと)。果たして楽しめるのかと思っていたのだが、予想の遥か斜め上を行く、実に面白い展覧会だった。

猿の毛を使ったジャケット、玉虫の羽を使った装身具、リアルな煮干しに見える帯留。ザ・シュルレアリスト=Salvador Dalíの人を喰ったような彫刻。1839年頃の紙製着せ替え人形(すごく可愛い)などなど、とにかくヘンテコな物が並ぶ。そこに、Vivienne Westwoodや熊谷登喜夫の尖ったモードや、1930年代~50年代頃の雑誌 VOGUEやHarper's Bazaarのアーティスティックな表紙も加わり、まさに「奇想」尽くし。一方で、西洋のコルセットや中国の纏足も展示され、ファッションとフェティシズムのダークな関係も示唆されている。

そして、これらの展示品と、東京都庭園美術館=旧朝香宮邸という場所の相乗効果。「奇想」×「アール・デコ様式」がもたらす妖しい雰囲気。これこそが、この美術展最大のお楽しみだと思う。旧い洋館を使った美術館と言うことでは、(今は無き)原美術館が、敢えて現代美術に特化していたのも印象的だったが、対照的に、東京都庭園美術館は、建物とその調度品自体と、展示物が渾然一体となった企画の立て方が、毎回、上手いなぁと感心する。



東京都庭園美術館を訪れたのは、金曜の午前中。前夜の雪が残っていたら、さぞかし庭園の雰囲気も素晴らしくなっていたと思うところですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、現在、庭園公開は休止中。これは残念でした。