IN/OUT (2020.7.26)

中々梅雨明けせず、猛暑にはならないものの湿度の高い不快な状況が続き、日本のあちこちで水害が続いています。この中でオリンピックって、想像しづらい。やはり、夏の日本でオリンピック開催って無理があったのではと思う、今日この頃です。


in最近のIN

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり」他、@アーティゾン美術館 20.7.25

アーティゾン美術館で開催中の展覧会を観に行ってきた。株式会社ブリヂストンの創業者 石橋正二郎が、自ら収集したコレクションを公開するために1952年に創設したブリヂストン美術館が、2015年にビルの建て替えのために休館。そして、今年1月、新築されたミュージアムタワー京橋内に名前も新たにリニューアル・オープンした美術館である。あまり自分の興味を惹く収蔵品が無いような気がして、これまで足を運んだことがなかったのだが、このコロナ禍で、最新の美術館がどのような事になっているのかという興味もあり訪れてみることにした。

来館は事前予約制。オンラインで決済を済ませ、発行されたQRコードを入り口で提示するというスマートな入場方式だ。もちろん、その前には検温とアルコールでの手指の消毒。展示室は4F~6Fの三フロア。それぞれ違う展覧会が開催されているが、入場券は共通である。

アーティゾン美術館 まず、6Fまで上がり、「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり」。これは、 アーティストと学芸員、そして石橋財団が所有するコレクションのセッションによって新たな視点の展覧会を構成するというプロジェクトの一回目。鴻池朋子の作品展である。

場内には、大規模なインスタレーションや映像作品、動物の毛皮を用いた展示や手芸のプロジェクトなどが並ぶ。彼女自身がクマの毛皮を被ってカヌーで冬の川を遡上する映像作品「ツキノワ川を登る」に漂う不思議な諧謔味には引き込まれたが、時に民俗学的な、時に神話的な雰囲気の作品群は、見応えはあるが、私には苦手なタイプだ。

アーティゾン美術館 5Fは、「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館展示帰国展 Cosmo- Eggs| 宇宙の卵」。2019年に開催された第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展での日本館展示を再構成したものである。ヴェネチア・ビエンナーレの日本館は外務省の要請に応じた石橋正二郎が建設寄贈(1956年完成)したという縁があるそうだ。

「Cosmo- Eggs| 宇宙の卵」は、キュレーターの服部浩之を中心に、美術家・下道基行、作曲家・安野太郎、人類学者・石倉敏明、建築家・能作文徳の、4つの異なる専門分野のアーティストが協働したインスタレーション。会場に入ると、彼らの紹介やプロジェクトの時系列を詳細に説明した資料など、膨大な文字情報が並ぶ。その奥に再現された「Cosmo- Eggs| 宇宙の卵」は、津波石をモノクロで映す映像作品と津波や巨石にまつわるテキストが周囲を取り囲み、真ん中には黄色のチューブで出来たベンチ。このチューブから送られた空気が天井から吊されたリコーダーを鳴らす。というもの。いささかコンセプト先行の頭でっかちの印象で、私にはぴんと来ず。

4Fは、石橋財団のコレクション展。ルノワール、セザンヌ、ピカソ、ロートレック、マネ、ポロック、クレー等々、超大物の作品群。この財団の底力に驚嘆する。このフロアのみ、音声ガイドが提供されているのだが、機材を貸し出すのでは無く、スマートフォンに専用アプリをダウンロードし自分のイヤフォンで聴くというスタイル。withコロナ時代には正解のやり方だと思う。もちろん、館内には無料のWi-Fiが提供されている。

ということで、展示内容は、私にとっては玉石混淆という印象だったが、豊かな財力を持った財団が運営する小振りながら最新の美術館は、都心のビルという味気なさを感じさせない快適な空間だった。



特に都民にとっては、外出して良いんだか悪いんだか、非常に居心地の悪い日々ですな。