IN/OUT (2020.5.24) |
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予定が入らない退屈と同時に、実は、予定を入れなくて良い気楽さというのも確実に有るなと思う、今日この頃です。 最近のINメンバー限定鑑賞日に行く (20.5.23)私が会員になっている美術館の一つ。3月28日以降、休館となっているのだが、この金・土の二日間をメンバー限定の予約鑑賞日とするという連絡が来た。移動に関する自粛要請に鑑み、近隣に住んでいる人を優先という注釈付き。両日とも、4回に分けた入館時間毎に10名限定となっている。すぐさま土曜の午後を申し込んだ(再開準備のための案内につき、投稿等は控えて欲しいということだったので、美術館名は記載しない)。 徒歩で、ぶらぶらと美術館に向かう。週末に、外出らしい外出をするのは久しぶりだ。営業している蕎麦屋の前にちょっとした行列が出来ていたり、八百屋に多くの人が詰めかけているのを見る一方で、「休業」ではなく「閉店した」という貼り紙が出ている店も、ちらほら。 美術館に到着。入り口で、手指のアルコール消毒と体温測定の後、館内へ。今回はこういった再開後の運営方法の確認も兼ねているのだ。この展覧会を鑑賞するのは二度目だが、人数制限がされている上に、皆、ソーシャルディスタンスを保つことを意識するので、展示物の前に人が集まることが無く、一点一点をたっぷり眺めることが出来るのがありがたい。1時間弱の映像作品もあるのだが、座席は1/3に間引きされていて、これも快適である。 久しぶりに訪れた美術館に「戻りつつある日常」を感じると同時に、全く混雑していない館内は「非日常」とも言える。いずれにせよ、前回見たときよりも、作家の意図などに理解を深めることが出来る良い機会となった。 ”TOKYO JAZZ +plus LIVE STREAM” (20.5.23-24)毎年恒例の音楽イベント「東京JAZZ」。今年は、上原ひろみ嬢も出演ということで、速攻でチケットを取得したのだが、当然ながら開催中止となってしまった。しかし、その代わりに、出演予定だったミュージシャンや過去の出演者を中心に、オンライン音楽フェスティバル "TOKYO JAZZ +plus LIVE STREAM"の配信が決定。しかも、元々の出演者には予定されていなかった矢野顕子と上妻宏光のユニット「やのとあがつま」も出演するという。ありがたくYouTubeのTOKYO JAZZ official channelにて視聴。 先日視聴した”JAZZ AUDITORIA ONLINE”と違い、ハリー杉山とセレイナ・アンをMCに据え、インタビューも交えて進行する「番組」として構成されている(JAZZ AUDITORIAの、無理矢理にでもイベントを成立させるぜ、という熱気が伝わってくる雰囲気は、あれはあれで良かったが)。主な出演者は、二日間で、小曽根真 featuring No Name Horses、Chick Corea、渡辺貞夫、Manhattan Transfer、Joshua Redman、上原ひろみ、Larry Carlton、David Sanborn、Tigran Hamasyan、Michel Camilo、H ZETTRIO、Bob James、Lee Ritenourand、Herbie Hancock、狭間美帆 m_unit、平原綾香、fox capture plan、Meshell Ndegeocello、日野皓正、Ovall×Gotch、TRI4TH、やのとあがつま、Michael League、小田朋美×中山晃子、BartolomeyBittmann、川口千里、Roberto Fonseca、GoGo Penguin、Dimash Kudaibergen等々、凄いことになっている。 土曜日。ライヴで最大のお目当てだったひろみ嬢は、"Kaleidoscope"。いつもながらの、とんでもない熱量の演奏。それを、リモート収録の固定カメラ映像で見られる幸せ。ライヴ会場の最前列で見ている雰囲気だ。常々思っているのだが、音楽ライヴにカット割りの多い映像はいらない。固定カメラが良いのだ。さらに、ひろみ嬢はもう1曲。初共演というサックス奏者のJoshua Redmanと、"What A Wonderful World"をリモート共演。この難しい条件で、こんなレベルの高いハーモニーが奏でられるという超一流ミュージシャンの底力に聴き入るばかり。 日曜日は、Jazzの範疇に止まらないミュージシャンが中心ということだ。ということで、この日のお目当て、やのとあがつま。「こきりこ節」。深澤秀行も交えた3人の演奏。独特の世界がカッコ良し。特に、深澤秀行が操るシンセのリボンコントローラーがしっかり見られるのが楽しい。これもまた、固定カメラによるリモート収録の有り難みだ。この日は、バックバンドに父親(平原まこと)も従えつつ、スキャットというかヴォイス・パーカッション的な要素をぶち込んだ想像以上にカッコ良いパフォーマンスの平原綾香も好印象。初めて見たBartolomeyBittmann(バイオリンとチェロの二人組)の激しいプレイも衝撃的だ。 全体を通じて、小曽根真 featuring No Name Horsesなど大所帯のバンドがリモートで収録という難易度が高そうなことを見事に決めていた事に驚いた。特に、狭間美帆 m_unitの、ゴージャスな音とシャレオツな画面編集には刮目。こうした機会が増えたせいか、ネットを使った大人数の演奏に関する方法論が確立されてきたのだろう。 このために新たに収録した演奏もあれば、過去の映像を流すパターンもあるが、きちんと編集されていて、流石にNHKが主催者に名前を連ねているだけの事はある。MCも、それほど邪魔にならない。このまま地上波で放映して問題ないようなクオリティの配信だった。とは言え、NHKホールで体感したかったけれども… 繁華街や観光地、各種施設、あるいはオフィスでも、「人口密度が下がることによる快適さ」を再発見したという気がします。この程度の人出で経済が回れば、それに超したことは無いのかも…。難しいかな。 |