IN/OUT (2020.2.9)

既にその感覚はありましたが、ついに公式に都内でのスギ花粉飛散開始が確認されたようです。やれやれ。


in最近のIN

”Les traducteurs”20.2.8

フランスのミステリー映画を観てきた。邦題は「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」

世界的ベストセラー小説の最新刊の刊行を前に、世界同時発売を狙う出版社は、9カ国語=9人の翻訳家を人里離れた村にある洋館に集め、外界との接触を一切禁止し、翻訳作業を行わせる(実際に「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの4作目の出版時、違法流出防止のために似たようなことが行われたそうだ)。その最中、出版社社長のもとに「冒頭10ページをネットに公開した」という脅迫メールが届く。指定時間内に金を払わなければ、さらに流出させるという。犯人は、果たして、洋館に閉じ込められている翻訳者の中にいるのか? というお話。

設定は面白い。9カ国語=9人の翻訳家ということは、母国語や文化的背景は違うが、共通の言語でコミュニケーションを取ることができる9人(中国人が入っていて、日本人が入っていないのが、今の時代を象徴している…)。彼らが、奇妙な拘束状況の中、連帯感を醸成し、事件発生後は疑心暗鬼に取り憑かれるところなど、実に映画的だと思う。

犯人の正体とその動機なども、巧みに仕組まれていて、終盤、謎が明らかになるあたりの展開は、とてもスリリングだ。冷静に考えると粗もあるが、ミステリーとしては上手いと思う。

ただ、翻訳家達を監禁し、家畜のように扱うという出版社社長の悪役キャラクターが非現実的過ぎだ。人権意識が高い現代において、彼のような行為は許されるはずは無いし、それを受け入れてしまう翻訳家達の行動も理解できない。もちろん、彼のキャラクターを弱めてしまうと、この物語自体が成立しなくなり難しいところだろう。結局、リアリティには目をつぶって、ゲーム的に観ることに撤しないと、白けてしまうところが難点だ。

なお、音楽を担当したのは、三宅純。この映画の宣伝で殆ど触れられていないのは何故だろう?国際的に活躍しているミュージシャンで、リオ五輪閉会式での「君が代」のアレンジを手掛けたことも記憶に新しいのに…



今年の飛散量は少ないらしいのは、有り難いところですが、飛散量よりも飛散期間が短くなる方が、もっと有り難いのですがね。