IN/OUT (2018.10.14)

週末は、奈良へ小旅行。


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「清水ミチコ 幸福ライブ イン興福寺」18.10.13

興福寺710年の平城遷都の際に創建された由緒ある名刹、奈良、興福寺。1717年の大火で伽藍の西半分を焼失したのだが、今年、300年ぶりに伽藍の中核施設・中金堂が再建された。その記念イベントに、何故か清水ミチコが出演するというので、出かけてきた。

東大寺土曜の昼過ぎに、近鉄奈良駅に到着。興福寺の場所を確認後、せっかくなので、東大寺大仏殿と春日大社を見物。奈良観光をするのは、たぶん、小学校の修学旅行以来だと思う。同じ古都でも、市街地は京都よりもこぢんまりしていて、なかなか居心地のよい観光地だ。鹿も可愛いし。

今更ながら驚いたのは、観光に訪れている外国人の多さだ。半分以上が海外から来ている人ではないだろうか? 境内に掛けられている絵馬に書かれた願い事の多くが、日本語以外の文字なのにも驚いた。世界中の旅行者が、鹿と一緒の良い感じの写真を撮ろうと奮戦している姿に和む(特に中国の人って、観光地での記念写真にやたらと気合いが入るケースが多いと思う)。

興福寺夕方、17時30分、まだ工事用のフェンスで半分目隠し状態の中金堂の前庭に設営された特設会場への入場開始。この中に入れるだけでもプレミアム感があるこの公演、正式名称は「興福寺中金堂落慶記念特別公演 第38回 世界遺産劇場 フェスティバル奈良 清水ミチコ 幸福ライブ イン興福寺」長い!

入場すると、まず、一般公開前の中金堂を参拝できる特典。堂内は撮影禁止だが、ありがたい仏像の数々を拝むことができる。そして、開演前には興福寺の貫首から挨拶。これが、軽妙なもので、会場を暖める。

すっかり暗く、寒くなってきた18時30分、開演。清水ミチコのライヴとしては、ベスト盤的な構成だが、おそらくコアなファンじゃ無い人も多いであろう客層を考えてか、丁寧なネタ振りが目立つ。しかし、会場の雰囲気がとても良くて、清水ミチコがどんどんノってくるのがわかる。会場からの物真似リクエストが「山根会長の奈良判定」というのも、ナイス。しかも、今日のピアノは、わざわざ神戸から運んできた、野外ライヴで使うには異例の、状態の良いSteinwayとのこと。結果、これまで観てきた彼女のライヴの中でも出色の出来だと思う。場所を忖度したような出し惜しみも無し(瀬戸内寂聴ネタも遠慮無し)。新ネタも織り込みながら、大いに盛り上がる。

個人的には、RCサクセションの「スローバラード」の熱唱に涙が出そうになってしまった。清水ミチコのレパートリーの内、矢野顕子と忌野清志郎については、笑いのネタにする気が無く、純粋に愛情が溢れ出していると思う。

私の大好物、作曲法ネタでさらに盛り上がって、本編終了。そして、アンコールは、矢野顕子のピュアな物真似で「ひとつだけ」。あれだけ会場を爆笑させた公演を、笑いの要素一切無しの矢野顕子で締める清水ミチコの勇気が凄いと思う。そして、夜の闇に浮かび上がる300年ぶりに復活した本物の中金堂の前という素晴らしい雰囲気で、「ひとつだけ」(歌っているのは偽物だけど)を聴けるというのは、矢野ファンとしては至福の体験である。遠出する価値の十二分にあるライヴだった。



終演後は、奈良漬け入りタルタルソースを使った奈良風チキン南蛮を食べた後、ネットで検索しておいたバーに行ってみました。このバーが大正解で、奈良の印象がさらに良くなりました。