IN/OUT (2018.2.11)

寒い日が続く中でも、陽射しは徐々に春めいてきて、終わらない冬は無いということを実感する今日この頃ですが、それはつまり、スギ・ヒノキ花粉も飛び始めるということも意味している訳です。そろそろ来始めましたね。


in最近のIN

"Córki dancingu"18.2.10

ポーランド映画を観てきた。英語タイトルは「The Lure」。邦題は「ゆれる人魚」。

タイトル通り、人魚の姉妹が主役の映画だ。舞台は1980年代。まだ共産党政権下にあったポーランド。海から陸上へ上がってきた人魚の姉妹は、ワルシャワのナイトクラブでコーラスガールとして働き始め、人気者となる(陸上では人間の姿に変身するのだ)。やがて、妹がバンドの男性に恋をしてしまう。しかし、人魚の女性が恋した男性が、もし他の女性と結婚してしまえば、人魚は海の泡となって消えてしまう宿命なのだ。と、粗筋を取り出すと、ファンタジー映画。

しかし、この人魚姉妹は、人食い人魚なのだ。本来、人間の男性は恋の対象では無く「餌」なのである。水がかかれば、彼女らの変身した足は魚の姿に戻るのだが、その造形は、アニメの人魚姫などとは大違い。上半身に比べ、アンバランスに巨大で、いかにも生臭そうなのだ。そう、この映画はホラー映画でもある。

ファンタジーであると同時にホラー映画でもあるところに加え、この映画はミュージカルでもある。Donna Summerの"I Feel Love"のカバーなど、いかにも80年代初頭のシンセサイザーを前面に出したディスコ風(懐かしさと、良い意味の安っぽさを感じさせる)ポップソングが鳴り続ける。つまり、美しい人魚姉妹が歌って踊って恋をして人を喰う、ファンタジック・ホラー・ミュージカルという、まさに怪作。しかも、舞台となるナイトクラブの猥雑さもあってエロ成分も高め。

美人姉妹が人を喰い、そこに、少女から大人への変化の暗喩が込められているというのは、先週観た"Grave"と同じだ(我ながら、キワモノ映画ばかり観ている気がする…)。芸術性に振った"Grave"に対し、本作はミュージカルでもある分、さらに「訳のわからなさ」が強まっており、中毒性は強いが、観る人を選ぶ映画とも言えそうだ。



年齢を重ねて体質が変わったのか、ある年を境に、それまで悩まされていた花粉症の症状が出なくなった先輩諸氏を何人か知っています。私も、どうせ加齢の影響があちこちに現れるのなら、まずは花粉症からの解放という方向に現出してもらいたいものです。