IN/OUT (2018.1.14)

学生時代の友人に会う機会がありました。そこで渡されたのが、貸しっぱなしになっていたらしいLP盤。家の片付けをしていたら出てきたということで、1/3世紀ぶりに手元に戻ってきた訳ですが、私自身、貸したこと自体をすっかり忘れていたので、まったくのサプライズでした(しかも、矢野顕子のデビュー・アルバム!)。


in最近のIN

PFM @ ビルボードライブ東京18.1.10

イタリアのプログレッシヴ・ロック・バンド「PFM(Premiata Forneria Marconi)」の公演を観に、ビルボードライブ東京に行ってきた。

私は、彼らのアルバムは、代表作の一つ、1973年の「Photos of Ghosts(邦題「幻の映像」)」を持っているだけで、熱心なファンとは言えず、あまり予習することもなしに出かけたのだが、結果、大きな衝撃を受けることになった。

今回の来日メンバーは、1970年の結成以来、唯一のオリジナル・メンバーとなったFranz Di Cioccio(リードヴォーカル兼ドラムス。ヴォーカルの時は歌唱に専念。ドラムスの時はドラムに専念するスタイル)、1974年から加入しているPatrick Djivas(ベース)、後は比較的最近加入したAlessandro Scaglione(キーボード)、Marco Sfogli(ギター)、Alessandro Bonetti(ヴァイオリン)、Alberto Bravin(キーボード、ギター、ヴォーカル)Roberto Gualdi(ドラムス。Cioccioがドラムを叩くときはツイン・ドラムになる)の7人。Cioccioは、御年72歳ということだが、ヴォーカルもドラムスもとてもパワフルだ。

演奏は、2017年に発売された新アルバム「Emotional Tattoos」の収録曲からスタート。その音色にやられた。昔のアナログ・シンセを思わせるキーボード・サウンド(使用機材は、YAMAHA MOTIF等、新しいが)と、重みのあるギター、そしてヴァイオリン。これら厚みのある音が、見事に「ザ・プログレ」という響きなのだ。そして、奏でられるのは、イタリア独特の抒情的なメロディ。これは素晴らしい。

新作だけでなく、デビュー・アルバムなど過去の名作、そして「Photos of Ghosts」からの曲も演ってくれ、また、ヴァイオリンをフィーチャーした「Romeo & Giulietta(Prokofievのバレエ曲)」も、ベテラン・プログレ・バンドらしい選曲。どの曲も、音の厚みとメロディーの美しさ、そして、見事な演奏技量が相まって、聴き応え十分だ。特に、ギターのMarco Sfogliのプレイは凄かった。見た目は地味なおじさんなのだが、スピードも音色も、超一流のプログレ・ギタリストだ。結局、ほとんど予習せずに参加したのだが、一曲たりとも退屈すること無し。

アンコールは「Photos of Ghosts」収録の炎の名曲「Celebration」。実に、聴き応えのあるライヴだった。そして、これだけの力量のあるバンドを、熱心にフォローしてこなかったとは、不覚であった。


"Queen"18.1.13

今年、一本目のインド映画。邦題は「クイーン 旅立つわたしのハネムーン」。

タイトルは、ヒロインの名前「Rani」の英語での意味。デリーの菓子屋の箱入り娘として大切に育てられた彼女だが、結婚式直前に婚約破棄されてしまう。傷心の彼女は、ハネムーンで行く予定だったパリ、そしてアムステルダムへ、一人旅に出かける。そして、旅先で出会った人達との触れあいの中で、自分の殻を破り、新しい生き方に目覚めていくという、ある意味、よくあるタイプの物語。ただ、日本以上に古い価値観に囚われている女性が多いインド人を主人公にしているというところが、ミソ。

ということで、話自体は予定調和だ。出会う人達が、非現実的なまでに善人ばかりというのも、この手の映画では仕方ないだろう。映画の前半では、その世間知らずぶりにイライラさせられるヒロインだが、ストーリーの展開とともに、どんどんチャーミングになってくる。そして、ラスト・シーンの彼女の表情で、ああ、良い映画だったなと思ってしまう。

問題は、アムステルダムで出会い重要な役割を果たす日本人青年を、中国系のJeffrey Hoが演じていることだ。彼の、決して上手くない(というか、イライラさせられる)日本語に、日本人としては映画への集中を削がれてしまう。なお、この映画では、もう一箇所、日本人が登場するシーンがある。集団で無遠慮な行動をする観光客という、日本人的には恥ずかしいシーンだが、今でも、海外ではこのようなイメージを持たれているのかもしれない。この、日本人的には、映画の本筋じゃないところが気になってしまうところが、2013年のこの良作が、今年になるまで日本公開されなかった原因かもしれない。



LP盤って、改めて見ると、大きさといい質感といい、「物」として、やはり良いなぁと思います。CDのプラスチック感よりも、ずっと良い。最近、アナログ盤見直しの機運が高まっているのも理解できます。ただ、私としては、デジタル音源の便利さからは抜けられそうに無いなと、返ってきたアルバムを見ながら、つらつら思う今日この頃です。