Ben Affleck主演の映画を観てきた。タイトルは主人公の職業を意味しているのだが、何故か邦題は「ザ・コンサルタント」。微妙に意味がズレる思う… 配給会社は馬鹿にしているのか? せめて「会計コンサルタント」に出来なかったのか?
映画そのものは、素晴らしいサスペンス映画だ。Ben Affleckが演じるのは、田舎でショボい事務所を営んでいる会計士だが、実は、裏社会の「会計コンサルタント」として暗躍し、凄腕の殺し屋でもあるという謎の男。さらに、彼は自閉スペクトラム症でもある(この映画では、それが彼の個性を際立たせることになる)。コミックのような設定だが、実際、この作品は映画公開後にアメコミ化されたそうだ。
先に不満点を述べておくと、彼の会計士としての活躍の所は、いささか物足りない。彼が、ある企業の不正を見抜くシーンがあるのだが、あの程度の経理操作なら、普通の会計士の通常の監査の過程で簡単に見抜けるだろう。まあ、不特定多数を対象にした娯楽映画だからしょうがないと思うが、私は不正会計にはちょっとうるさいのだ。
そこを除けば、とても良く考えられた設定だと思う。また、インドネシアの格闘技「シラット」を体得している主人公(Ben Affleck自身、かなり練習したそうだ)のアクションが極めて無駄の無い動きで実戦的なところも見所。さらに、完璧にとどめを刺すガン・アクションも、他のアクション映画では、あまり見ないタイプだ。
そして、物語の後半になると、前半で観客が引っかかりを覚えた箇所に対する回答を次々と提示してくれるのが楽しい。映画の冒頭の主観映像が誰の視点だったのか? 彼をサポートし、スマートフォンから指示を与える謎の女性の正体は? 彼は、いつ、どこで、シラットをマスターしたのか? などなど。やや説明過剰でテンポを損ねている箇所もあるような気もするが、親切な伏線回収で、見終わった後はスッキリ。
どこか田舎くさい生真面目な風貌と見事な筋肉を誇るBen Affleckが、まさに適役。ちょっと、うざい経理の女性(いかにも、数字好きで、実在しそうだ…)を演じるAnna Kendrickも、ハマっている。続編を作るのであれば、是非、Pollockの絵の芸術的価値が本当に彼女に分かっていたのか? という疑問への回答も欲しい所である。