1983年にデビューした英国のポップスター、Howard Jonesの公演を観に、ビルボードライブ東京に行ってきた。
彼がデビューした頃は、ちょうど、MTVの全盛期であり、また、テクノ・ポップの隆盛期でもあった。高い演奏技能を持たなくても、アイディアとセンス一発でヒット曲を産み出すミュージシャン達が続々と出てきた時期である(その多くは、まさに一発屋だったが…)。Howard Jonesは、ヒット曲を連発していたので、決して一発屋ではないが、1990年代以降は、あまり目立った活動をしていた印象は無い。しかし、地道な活動は継続しており、2015年には新アルバム"ENGAGE"を発売している。
ステージには、エレクトロニック・ドラムと、シンセ・ベースの二人のバックバンド。そして、Howard Jonesは、KORGのKeytar RK-100s(いわゆる肩掛けキーボード)を引っさげて登場。80年代の華奢なルックスと比べると、額は広くなり、かなり貫禄がついたが、まだまだ若々しい(1955年生まれ)。
まずは、"Pearl in The Shell"でスタート。その歌唱と演奏は、期待以上。元々、彼のシンセ・サウンドは、ピコピコ系と言うよりは温もりのあるタイプだったので、80年代のヒット曲を最新の機材で演奏しても、印象がそれほど変わらず、古びた感じがしない。また、最新アルバム"ENGAGE"から、"Joy"と"Human Touch"を演奏したが、これらも、かつてのヒット曲と同等のクオリティを維持しているカッコ良い曲だ。さらに、Keytarの扱いの巧みさには感心する。そして、スマートフォンを見ながら、翻訳アプリを使って準備したらしい日本語の文章で会場とコミュニケーションを取るところなど、ライブ・パフォーマーとして、しっかり魅せてくれる。
後半は、"Like To Get To Know You Well"、"Everlasting Love"、"Life in One Day"、"What Is Love"、"Hold on to Your Heart"、"New Song"、"Things Can Only Get Better"と、ヒット曲をダンサブルなアレンジで、つるべ打ち。会場も大盛り上がりだ。勿論、私のボルテージも上がりまくり。特に、ライヴ・アレンジの"New Song"には、燃えた。こうやって聞くと、本当にヒット曲の多い人だと改めて思うし、それらの曲が、普段は思い出さなくても、結構、自分の中に染みついていることにも驚く。
Howrd Jonesを大いに見直した一夜だったが、この熱いステージだったら、ビルボードライブじゃなくて、オール・スタンディングのライヴハウスで来日公演をすれば良かったのに、という気もした(その場合、翌日の仕事に支障が出るぐらい、体力を消耗したとは思うが…)。
ついでに言えば、歩道を颯爽と自転車で駆け抜けて行く人とか、傘を水平に持った手を振りながら歩く人にもイライラ。加齢と共に、どんどん器が小さくなっていくような気がする今日この頃です。