IN/OUT (2016.10.23) |
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中々、気候が安定しない秋でしたが、ようやく、ちょうど良い感じの秋晴れになりました。春と違ってスギ花粉も無く、オープン・エアの原美術館のカフェテリアが、とても心地よし。 最近のIN「篠山紀信展『快楽の館』」@原美術館 (16.10.23)原美術館で開催中の展覧会に行ってきた。篠山紀信の撮り下ろしヌード写真 77点で、1938年に建築された邸宅である原美術館を、「快楽の館」に変貌させるという、かなり「攻めた」企画展である。 普通、写真展というと、どこか別の場所で撮影した作品を、美術館に持ってきて展示するわけだが、この写真展の肝は、全ての作品が、まさにこの場所、原美術館で撮影されたものということだ。目の前には、実在の空間と、そこに裸体を配した写真空間が同時に現れることになり、日常と非日常が混沌とする、ちょっとしたトリップ感を覚えることになる。 さらに、印象深いのは、奈良美智、森村泰昌、須田悦弘らの常設展示の中にモデルを配した写真が、その常設展示のすぐ横に飾られていることだ。この仕掛けは、原美術館に何度も通っている人ほど、強烈なインパクトを受けることになると思う。特に、Jean-Pierre Raynaudの「ゼロの空間」は、私はあまり気に入っている訳ではない(清掃の行き届いた公衆便所のようにも見える)のだが、そこにヌードを組み合わせると、一気に奥行きが出たようで(現実の作品はインスタレーション空間。それに対し、写真は平面なので、矛盾した言い方だが)、虚実の境目が揺らぐのだ。 飾られた写真は、総勢 33名のモデルを起用したヌード写真のみ。中には、原俊夫館長自身が、モデルさんとともにポーズを決める(もちろん、館長は着衣)作品も有り。この刺激的かつ遊び心も溢れるアイディアを実現する大ベテラン 篠山紀信。やはり凄い人だ。 他の美術館では再現不可能な展覧会。1月9日までの会期内、是非、多くの人に訪れてもらいたいものだ。 ただし、写真展の内容が内容だけに、中学生以下の方は引率の大人が同伴することになっています。まあ、中学生ぐらいだと、親と一緒にヌード写真を鑑賞するのって、すごく嫌だと思いますが… |