IN/OUT (2016.8.7) |
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一週間の夏休み。前半は関西へ帰省。今回も、エキスポ・シティの109シネマズに行って、二回目の「シン・ゴジラ」を、IMAXで鑑賞してきました。 それにしても、ここのIMAXは、本当にデカいし、画質も素晴らしい。その後、三回目のシン・ゴジラをT・ジョイPRINCE品川のIMAXで鑑賞したのですが、同じIMAXでも全然違う。ただ、エキスポ・シティのIMAXは、あまりにもスクリーンが大きすぎて、字幕を追うのが辛いのが難点。日本映画なので台詞の字幕は無いけど、シン・ゴジラの場合、文字による情報量も半端ないのです。(一週間で三回のゴジラ鑑賞。それでも情報量の多さに、あと数回は観たい…) 最近のIN「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」@国立新美術館 (16.8.4)国立新美術館で開催中の「ルノワール展」に行ってきた。大混雑が伝えられているので、平日に行ったのだが、それでも館内は大賑わい。それも納得の充実の展示だ。 日本でも広く知られている超有名画家の、初期から最晩年まで全キャリアを通じた代表作が惜しげも無く日本に集結。その質・量は予想以上。展示の仕方も工夫されていて、あまり印象派の画家に詳しくない私にも、十分に楽しめるものだった。息子の映画監督 Jean Renoirの作品も上映されていたが、こうやって観てみると、画面に父親の影響が見て取れるのも面白い。 印象的だったのは、作品が大きい、ということ。「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」、「都会のダンス」&「田舎のダンス」、「ピアノを弾く少女たち」など、どれも、写真などでは何度も目にしていた有名作だが、原寸大を知らなかったのだ。写真では伝わらない実物のサイズに、単純に圧倒された。要はデカい。この大きさがあってこそ、印象派の特徴である「光」の質感が観る者に迫ってくると思う。「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」など、精緻な写実画では無いのに、絵の前に立つと、臨場感のようなものすら感じるのだ。やはり、美術作品は実物を観てなんぼだと実感。 なお、ミュージアム・ショップでは「顔ハメのフチ子 RENOIR」なる商品も販売中。コップのフチ子さんが名画に顔ハメするという、あまりにも馬鹿馬鹿しい商品。思わず、二個、購入。 「宇宙と芸術展」@森美術館 (16.8.4)作家名/作品名:空山 基《セクシーロボット》 六本木で美術館をハシゴ。森美術館で開催中の「宇宙と芸術展」を観てきた。テーマは宇宙。 最初のセクションには、過去の人々が宇宙をどのように見てきたのか、という観点での展示が並ぶ。曼荼羅、ガリレオ・ガリレイの手稿、隕鉄で作られた日本刀「流星刀」など。中でも、天保年間(1830年代)に反射望遠鏡を製作した国友一貫斎による月面や太陽黒点の観測スケッチには驚いた。江戸時代にこんな日本人がいたのか。もっとも、これらの展示物は、美術館よりも博物館が似合うような気もするが… 以降のセクションからは、現代の作品が並ぶが、ちょっと玉石混淆かな。江戸時代のUFO事件「うつろ舟の蛮女」が大きくフィーチャーされていたのには笑ったが…。最後は、猪子寿之率いるチームラボによる強烈なインスタレーションに度肝を抜かれる。彼らのこれまでの作品、個人的にはあまり惹かれなかったのが、今回のは凄い。 全体を通じて、宇宙ってことで大きく構えすぎて、焦点がボケたような気もする。注意事項を守れば、写真撮影可能な物が多いのは嬉しいが、オーディオガイドが有料になっていたのが許せない。オーディオガイドが無料でサービスされるのが、他の美術館では滅多に無い、森美術館の優れたところだと思っていただけに、残念だ。有名芸能人(腹立たしくて借りなかったのだが、篠原ともえがガイドを務めていたらしい)を起用しなくても良いので、無料に拘ってもらいたかった。それでも、見応えのある展覧会なのは間違いないが。 最近のOUT"High-Rise" (16.8.6)私が偏愛する作家、J. G. Ballard原作の映画を観てきた。 一応、「SF小説家」ということになっているBallardだが、それは初期の、地球が滅亡するような作品を描いていた時期の話だ。この映画の原作も、いわゆるSFでは無い。1975年に発表された「ハイ・ライズ」は、1973年の「クラッシュ」、74年の「コンクリート・アイランド」と合わせ、『テクノロジー三部作』と呼ばれる作品群で、それぞれ独立した物語だが、いずれも、閉ざされた特殊な環境の中で変容し暴走する人間を描いている。 この作品の舞台は、ロンドン郊外に建築された高層マンション。主人公は中層階に住む医師。さらに、上層階に住むマンションの設計者と、下層階に住むTVプロデューサーが主要人物。マンションの上下階の関係が、階級闘争に姿を変え、マンションの住人達は、暴力と性的倒錯の渦に飲み込まれていくという物語。モダンな高層マンションが、部族闘争の絶えない原始的な共同体のようなおぞましい空間に退行し、登場人物達は内に秘めた暴力性を解放するのだ。 この、リアリティよりも観念性を前面に出した物語を、映画製作陣は、驚くほど原作に忠実に映像化している。時代設定も(劇中、明確に示されている訳では無いが、ファッションや音楽から判断するに)原作と同じく、1975年頃になっているようだ。 原作小説が大好きな私も、この方針での映画化には首を傾げざるを得ない。原作小説は、暴走する登場人物をおぞましく思いながらも、どこか腐臭に惹かれるような背徳的な魅力があるのだが、それを、2010年代の今、そのまんま映像化しても、駄目だろう。小難しくて、なんだか訳が分からない怪作になってしまっている。映画館は、主人公の医師を演じるTom Hiddleston目当てと思われる若い女性も多かったが、みんな思考停止しちゃったんじゃ無いかなぁ?(あるいは、Tom Hiddlestonがかなり振り切った演技を披露し、肉体美も見せているので、満足したのかしらん) エキスポ・シティには、新たに、全高123mの大観覧車「REDHORSE OSAKA WHEEL」が営業を開始していました。床面がシースルーのゴンドラで、とても立派なのですが、いかんせん、大阪市街から離れている。高層ビルなどは、かなり遠くに見えるだけで、どちらかと言えば、のどかな風景しか見えない。高さが無駄になっているような…。それでも、太陽の塔を見下ろせるのは良いですな。 |