IN/OUT (2016.4.17)

先頃、米国で開催された、Microsoftの開発者向けカンファレンス「Build 2016」で、Windows Mobileの話が全く出なかったため、このままWindows Phoneが無くなるのかという噂が飛び交い、大いに不安になる今日この頃。iOSやAndroidにいまいち馴染めない私としては、なんとか盛り返していただきたいところです。アプリ不足で一般受けは難しいのかもしれないけど、最新のバージョンは、かなり使い勝手が良くなっているのですよ(Insider PreviewのFast Ringで最新のテスト・バージョンをダウンロードした実験機が、通話不能になるトラブルに見舞われたのは別の話


in最近のIN

"Babettes gæstebud"16.4.16

1987年のアカデミー賞 外国語映画賞を受賞したデンマーク映画を観てきた。「バベットの晩餐会 - デジタル・リマスー版 -」。

この映画が最初に日本公開された1987年は、まさにバブル期。サブカルもまた盛んで、ミニシアターでヨーロッパ映画を観るのがお洒落と言われていた時代でもある。そうしたブームの象徴とも言えるのが、この映画だった。私も、当然、観に行ったのだが、劇中に出てくる「ウズラのパイ詰め石棺風」が、小骨が多くて食べにくそうだなと思った記憶のみが鮮明で、細部は忘れてしまっていた。

29年ぶりに復活した作品を鑑賞するのは、やはりミニ・シアター、恵比寿ガーデンシネマ。2011年に一度閉館し、2015年に復活した映画館である。今回は、デジタル・リマスターされたということで、画質も音響も、非常に良好だ。

改めて再鑑賞して驚いた。この映画に涙した記憶が無いとは、当時の私がなんと馬鹿だったことか。実にチャーミングな映画だ。舞台は、19世紀後半、デンマークの小さな漁村。貧しくとも信仰篤い生活を送る老姉妹の元に、パリ・コミューン(1871年のパリでの市民蜂起)で、夫も子供も財産も奪われた女性(彼女の名前が、タイトルになっている「バベット」)が身を寄せ、家政婦として働き出す。それから14年後、バベットが宝くじに当たり、1万フランを獲得。これでバベットはフランスに帰ってしまうと皆が思っている中、彼女が申し出たのは、フランス料理の晩餐会を開くこと。これが、小さな村に小さな奇跡をもたらすのだ。

日頃、質素な暮らしを送る村人達に振る舞われるのは、今では食べることが難しそうなウミガメのスープ、ウズラにフォアグラを詰め石棺風のパイケースに入れたもの、デザートのサヴァラン(これが、実に美味しそう!)、当時では珍しかったであろう新鮮なフルーツの盛り合わせなどなど、さらに、アモンティリャード(シェリー酒)、ヴーヴ・クリコ -1860年(シャンパン)、クロ・ヴージョ -1845年(赤ワイン。パリ・コミューンから14年後が舞台と言うことは1885年。つまり40年もの!)、コニャックと、銘酒も続々。

さらに、老姉妹の若かりし日の淡い恋(若い時代の二人が、なんとも清楚で素朴で美しい)と、それぞれのお相手のその後の生涯が寓話的な彩りを添え、しみじみと人生に思いを巡らせることが出来る映画なのである。29年前の自分にピンとこなかったのも、致し方ないか…

登場人物の大半は老人で、有名な俳優が出ている訳でも無いし、舞台は貧しい村。こうした地味な作品をリバイバル上映してくれた事に大感謝である。バベットが最後にきっぱりと言い切る「この世に貧しい芸術家などいない」。こんな至言が込められていたことすら忘れていた。再見できて、本当に良かった。



日本ではNuAns neoのような個性派の新商品も出てきているし、もう少し、盛り上がっても良いと思うのですが。渋谷ロフトで実機展示中のNuAns neoを見てきましたが、なかなか良さげ。ただ、ほとんど人が集まっていなかったのが、Windows Phone推進派としては悲しい。