IN/OUT (2015.11.22)

品川駅港南口 周りの木々が紅葉を過ぎ、葉を落としているのに、今日現在、いまだに花を維持しているひまわり。温暖化の影響なのか、単に、このひまわりに根性があるのか、空気を読めないのか?


in最近のIN

"Moonwalkers"15.11.21

"Based on a True Conspiracy Theory"=「ホンモノの陰謀論に基づく」 というキャッチコピーが付いた映画を観てきた。アポロ11号の月着陸映像は、実は、Stanley Kubrick(当時、「2001年 宇宙の旅」を撮ったばかり)が撮影したフェイク映像だったという噂をベースにしたコメディである。Kubrickファンとしては、観ねばなるまい。

米国政府は、万一、月面着陸が失敗した時に備えようと考え、Kubrickにバックアップ映像を撮影してもらおうと計画。そのためロンドンを訪れるCIAエージェントに扮するのが、強面 Ron Perlman。しかし、彼が間違えて接触したのは、売れないロックバンドのマネージャー Rupert Grint。友人をKubrickに仕立て上げ、金をだまし取ろうとするが…。ここから、怪しげな映画監督とその取り巻き、街の悪徳ヤミ金業者、さらには監視のために送り込まれたCIA要員やらを巻き込んで、物語は転がっていく。アポロ11号が月面着陸を敢行する前に、バックアップの映像は用意しなければならず、タイムリミットが迫る。

Ron Perlmanのバイオレンス・シーンにクラシック音楽を被せるという、"Clockwork Orange"へのオマージュと言えそうなシーンもあるが、残念ながら、Kubrick自身が活躍する映画で無く、彼のファンには物足りない。むしろ、製作者が目指したのは、ラヴで、ハッピーで、サイケなロンドンの風俗と、ベトナム戦争の特殊任務によるPTSDに悩まされる米国人という、1960年代後半を象徴する時代背景自体を笑い飛ばすことだろう。その意図は成功していると思う。主演の二人が、ハマり役だ。

監督のAntoine Bardou-Jacquetは、CM畑の人で、長編映画はこれが初めてらしい。印象的な絵作りは、さすがCM出身だけに巧みだが、94分を語りきるには、いま一歩かな。この手の作品にしては、オチが弱いのが惜しい。


「東京アートミーティングⅥ "TOKYO"-見えない都市を見せる」@東京都現代美術館15.11.22

東京都現代美術館東京都現代美術館で開催中の美術展を観てきた。YMO+宮沢章夫、蜷川実花、ホンマタカシなどのクリエイターがキュレーションした展示と、スーパーフレックス、サーダン・アフィア、林科らの現代アーティストによる「東京」をテーマにした新作、そして美術館の収蔵作品から奈良美智や菅木志雄らの作品が展示されている。

会場に入って、いきなり飛び込んでくるのが、YMO+宮沢章夫のセクション。フジカセットのCMに使われた「増殖人形」や、当時の衣装、さらに、ウィンター・ライヴ1981の映像など、YMO好きには感涙物の展示が並ぶ。が、これが「東京」を読み解くキーワードなのか?

他の展示も、それぞれに興味深くはある。特に、実際には一度も東京を訪れたことが無い北京在住のアーティスト 林科による作品、インターネットからダウンロードされ、アップデートされ続ける東京のイメージは、刺激的だ。

ただ、この展覧会が、いくつかの視点は提示しているとは言え、「東京」を語りきっているとはとても思えないのが残念。東京都の美術館が東京をテーマに開催して、この程度ということは、2020年のオリンピック、なんだか心配ではある。

同時開催されていた「オノ・ヨーコ 私の窓から」は、どうしても John Lennonのパートナーとして捉えられがちな彼女を、Lennonからは切り離し、現代芸術作家 オノ・ヨーコとして評価するもの。これまで、あまり知らなかった彼女のコンセプチュアル・アートの作品群は、中々の見応えがある。ただ、私の好みとはちょっと違うかな。



地下鉄 清澄白河駅から東京都現代美術館へと向かう道は、途中に深川江戸資料館や旧い店があり、ちょっとした観光スポット。お昼時は、何軒かある深川飯を出す料理屋全てに行列が出来ています。並んでまで食べたいかなぁ、という気はしますが(ちょっと道を逸れると、ブルーボトルコーヒーにも行列が出来てますな。あれも、並んでまでねぇ…)。

私は、ここに行くときは、東京都現代美術館の中にあるベトナム料理屋「Cafe Hai」のフォーが目当て。展覧会の内容よりも、たまに、これが無性に食べたくなって、出かけてしまいます。