IN/OUT (2015.5.3)

連休前半は、関西に行っていました。


in最近のIN

「高松次郎 制作の軌跡」@国立国際美術館15.4.30

国立国際美術館 1960年代から活躍した現代美術家 高松次郎(1936年 - 1998年)の回顧展を観に、国立国際美術館に行ってきた。この3月まで、東京国立近代美術館で「高松次郎ミステリーズ」という展覧会が開催されていて興味があったのだが、見逃したままになっていたので、今回、タイミングが合ってラッキーだった。

タイトル通り、高松次郎の作品が年代順に並べられていて、彼の作風の変遷を辿ることが出来るようになっている。また、一部の作品には、制作メモのような物が共に並べられていて、作者の意図が読み取れる、とても興味深い展示になっている。一見、なんだか分からない、いかにも現代美術っぽい造形の背後には、高松次郎の深い思索が込められているのだ。ただ、理詰めっぽ過ぎる印象もあり、後期の作品は、ちょっと私には難しい。

そういう意味では、分かりやすい「影」シリーズの展示は、それが飾られている空間に身を置くことが、純粋に面白い。リアルなものと実体のないもの、それらに対する視覚のズレ、というようなことを追求している(のかな?)作品は、後に、模倣され浪費されていくトリックアート商品の源流のかもしれないと思ったり。

ゴールデン・ウィーク中だが、平日だったので、ゆっくり見て回れたのも良かった。


「建築家 ガウディ × 漫画家 井上雄彦 -シンクロする創造の源泉-」@兵庫県立美術館15.5.1

兵庫県立美術館スペインの建築家 アントニ・ガウディの生涯と、その作品を紹介する展示に、井上雄彦書き下ろしの絵を組み合わせた展覧会を観に、兵庫県立美術館に行ってきた。

サグラダ・ファミリア、グエル公園、カサ・ミラ、カサ・バトリョなどの建築物で有名なガウディが描いた図面など貴重な資料類と、建築物の模型などが並ぶ展示は、中々に見応えがある。力学的な合理性と、自然や生物から着想したような独特の曲線が組み合わさった建築は、(自分が、そこに住みたいかは別にして)唯一無二の美しさだと実感。ただ、資料類の充実や、「逆さ吊り模型」など興味深い展示物がある一方で、建築物の実物の写真などが少ないように思う。彼の作品ぐらい常識として知っておけ、ということかもしれないが…。現在の街の中に、どのように建築物が溶け込んでいるのか、もうちょっと見せてくれても良いのに、と思う。

そして、この展覧会の特徴が、各展示室の冒頭など要所要所に、井上雄彦による書き下ろし作品が飾られていることだ。もはや漫画家の域を超えた画力を誇る井上雄彦が、バルセロナに赴き、じっくり制作したという40点ほどの作品は、なるほど見応えがある。彼自身が特注したという手漉き和紙に描かれているという拘りぶりもあり、展覧会の雰囲気を壊すこと無く、ガウディの作品に溶け込んでいると感じた。天才は天才を知るということか。

井上雄彦の漫画が好きな人には堪らない企画だとは思うが、私自身は、腰を据えて彼の作品を読んだことが無いので、ちょっと猫に小判的な感じもあったかな。神戸の前に、長崎、金沢で開催されてきたこの展覧会は、この後、仙台を回った後、7月には東京に来るそうだ。



実家の近く、目立たないところにイタリア料理店が出来ていたことに、今回、気がつきました。数年前から営業している、かなり小さい店ですが、店頭の黒板を見ても、それなりに本格的な雰囲気が漂っています。しかし、店先には「ここは飲み屋ではありません」という意味の貼り紙が…。お屋敷町じゃない住宅街だと、客層には恵まれていないのかしらん?