IN/OUT (2015.4.26)

今年の12月でパスポートの期限を迎えるのですが、国によっては、入国時に6ヶ月以上の有効期間が残っていることが条件になっているところもあり、そろそろ更新しようかと考えています。が、これって、実質9年半で更新しなければならないと言うことで、ちょっと勿体無いような気もしますね。


in最近のIN

"The Good Lie"15.4.25

スーダン内戦で難民となった子供達を描いた映画を観てきた。邦題は「グッド・ライ いちばん優しい嘘」

1980年代の内戦で、親を亡くし故郷を追われ、難民キャンプに辿り着いた子供達。彼らを、米国に移住させる計画が実行されたという事実に基づいた映画である。実際、メインの登場人物である兄弟は、四人とも、スーダン難民の子供だったり、自身がスーダン難民(少年兵だった過去を持つ者もいる)という経歴の持ち主。彼らが、村を追われ、難民キャンプに辿り着き、やがて米国行きのチャンスを得る過程が、淡々と描かれていく。極めて過酷な体験なのだが、語り口は柔らかい。

米国に着いた彼らは、アフリカの村とは全く違う米国生活に戸惑い、また、内に抱えたトラウマにも苦しめられる。が、この辺の描写も、割に淡々としている。先入観では、アフリカと米国のカルチャー・ギャップを誇張して描いているのかと思っていた(予告編も、そういう作りだと思う)ので、ちょっと戸惑う。

悪く言えば、Margaret Nagle監督の描写が甘く、掘り下げが浅い、という感じもあるのだが、正面から描くには、あまりにも重い題材なのは確かだろう。なまじ、ドキュメンタリー・タッチでシリアスに描いてしまうと、観る人を選ぶ、難しい映画になっていたかもしれない。そういう意味では、これぐらいの緩い描き方の方が、素直にテーマが響いていくるのだろう。ただ、タイトルと、分かりやすい伏線で、途中で結末の予想がついてしまい、ちょっと感動が薄れたかな。

主役の四人のスーダン人の演技も自然体で素晴らしいのだが、米国で彼らを受け容れる、職業紹介所で働く女性を演じたReese Witherspoonが、好演。デビュー当時は、軽薄なブロンド美人という印象だったが、アラフォーとなった今では、すっかり落ち着いて、深味のある演技を見せてくれている。素敵な年の取り方をしているなと感心する。

さらに感心するのは、数千人単位で、難民の子供達を受け容れるプログラムを実行した米国という国家の懐の深さだ。多民族国家故の様々な問題に直面していても、こういうことを、ちゃんとやってしまうところに、大国としての自覚が現れているのだろう。単純に米国の全てが素晴らしいとは思わないが、それでも、大したものだ。9.11以降、こうしたプログラムに対する風向きが変わってしまったということは、つくづく残念である。



ということで、まもなく大型連休。ですが、5月は、ちょっとした矢野顕子強化月間(要は、来日公演が何本か予定されている)なので、ゴールデン・ウィークはおとなしめに過ごそうかと思う今日この頃です。