IN/OUT (2015.4.19)

今年は、スギ・ヒノキ花粉の飛散終了が早そうだという報道もあった中、先週末で、ちょうど花粉症の薬が切れたので、ここで買い足すのは止めてみました。が、やはり、まだキツい。特に、ヒノキ花粉の方が目に来るんだよなぁ。


in最近のIN

"Magic in the Moonlight"15.4.18

Woody Allen監督の新作を観てきた。

舞台は1920年代の南フランス。有名なマジシャンが友人に頼まれ、占い師のイカサマを暴くため、リゾート地に乗り込む。しかし、その占い師は、チャーミングな若い女性。彼女の見事な透視や降霊術での奇跡を目の当たりにするうちに、ニヒルな現実主義者だったマジシャンの価値観は揺さぶられ、さらには、彼女に恋してしまう、というお話。

軽妙な語り口と古き良きフランスの風景、ちょっとした伏線が巧みな脚本。気楽に楽しめるロマンティック・コメディだ。

周囲の人に煙たがられる皮肉屋の主人公を演じた Colin Firthが良い感じ。いかにもWoody Allen作品っぽい、膨大な台詞を蕩々とまくし立てる様子が、笑いを誘う。それを受けるヒロインの女占い師がEmma Stone。先週観た"Birdman"では、麻薬中毒からリハビリ中というエキセントリックな役柄だったが、本作では、アメリカの田舎町出身の貧しい身の上ながら、霊能力()を頼みに、一所懸命に生きている女性を、キュートに演じている。ほんと、笑顔の可愛い女優さんだ。

例えイカサマだろうと、とにかく「思い込み」こそが恋愛の本質だと語りかけるAllenの眼差しが、とても優しく感じられる、小品ながら良く出来た映画だった。ただ、音楽が時代背景に合わせた軽妙なジャズなのだが、どうも、吉本新喜劇のテーマ曲っぽく聞こえてしまうのが、難点か。


"Duran Duran: Unstaged"15.4.18

TOHOシネマズ 新宿新宿歌舞伎町、コマ劇場跡に出来た新しい映画館で、Duran Duranのライヴの映像作品を観てきた。これはアメリカン・エクスプレス主催の"Unstaged"というシリーズ・イベントとして、2011年、ロサンゼルスのMayan Theaterで行われたライヴで、インターネットで同時配信もされたもの。映像を手がけたのは、David Lynch。Duran DuranとLynch、意外な取り合わせだ。

ライヴ自体は、ゲスト・ミュージシャンも招き、非常に白熱した素晴らしいステージだ。デビュー当時は、そのルックスが騒がれたりしたが、中々どうして、演奏力もあるし、客のあしらい方も堂に入っている。しかし、そこに絡むのが、変態 David Lynch。ライヴ・アクトをモノクロ(あるいは、極端に彩度を落とした映像と言うべきか)で撮りつつ、常に別の映像を被せる、凝った編集を施している。その映像も、Lynchらしい、不条理感が漂うオフビートなもの。恐らく、純粋にDuran Duranのライヴ映像を楽しみにしている人には、邪魔でしょうが無い、むしろ怒りすら覚えるような映像だと思う。ただ、Lynch贔屓の私には、映像作家の独りよがりになることなく、ちゃんと、ミュージック・ビデオとして機能しているように見えるのだ。Lynch自身が音楽活動をしていることも影響しているのではないだろうか。

ただ、2011年の作品なので、当時発売されたアルバム"All You Need Is Now"からの曲が多いのが、個人的には、ちょっと残念。それでも、本編ラストの"Rio"、アンコールの"A View to a Kill"と"Girls on Film"などは、昔の名曲が、ちゃんと今のサウンドで熱く演奏されていて、感涙。あと、John Taylorなんかは今でもカッコ良いのだが、フロントマンのSimon Le Bonが、ちょっと下品なお金持ちのような見た目になっていたのも残念かな。

それにしても不思議なのは、なぜ、TOHOシネマズが社運をかけた新劇場のこけら落としに、こういうマニアックな作品をかけたのか? ということだ。



花粉症の終わりが見えてくると、ゴールデン・ウィーク。それを心の支えに、薬の追加購入はせずに乗り切ろうと決めた今日この頃です。