IN/OUT (2015.3.29)

品川の桜数日前までは、朝晩はそれなりに冷え込んでいたのが、一気に春になったという感じです。


out最近のOUT

"Jupiter Ascending"15.3.28

"The Matrix"でお馴染み、The Wachowskisの新作を観てきた。邦題は、"Ascending"を省略した「ジュピター」

家政婦として冴えない日々を送っているヒロインが、実は、宇宙を支配する王朝の女王の生まれ変わりだったという貴種流離譚的な設定とスペース・オペラを組み合わせたような物語は、まさに、中学生男子的世界観。この世は、実は、一般大衆が認識している世界では無く、その真実を知った主人公がヒーロー/ヒロインとして覚醒するという構造は、The Matrixと同じ。The Wachowskis、16年経っても、何の進歩もしていない。

ボンクラ中学生が好きそうな題材でも、The Matrixは、当時では斬新過ぎる映像で度肝を抜いてくれた。しかし、今作では、特殊撮影の量は膨大だし、金もかかっている(製作費、176Mドル!)のだが、新鮮味が無い。というか、映画を通して見えてくるのは、あまりにも安っぽい妄想ばかりだ。

Mila KunisとChanning Tatumという、ハリウッドで一番フェロモン濃度が高そうな男女を主役に据え(当然、Channing Tatumは上半身裸のシーン多し)、女王の生まれ変わりと、狼の遺伝子を組み込まれた傭兵との身分を超えた恋愛というのも、やり過ぎ感が過剰だし、そもそも「宇宙を支配する王朝」って…。さらに、Channing Tatumがアクション・シーンで使いこなすのは、「空飛ぶブーツ」…

それでも、ストーリーが面白ければ良いのだが、これが盛り上がらない。王朝の後継である三兄弟の駆け引きとかで、もっと盛り上げる方策もあっただろうに。敵役も、間抜けばっかり。本人達は気が利いてると思っているのかもしれないジョークの場面(王位継承の手続きが、典型的お役所仕事になっているとか)も寒いだけ。

原題を見ると、製作陣は続編も想定しているのかもしれないが、これじゃ無理だろう。思い返しても、良いところが一つも浮かばず、悪口しか出てこない、最近では希有の映画だった。



この辺りでは、桜の満開は週の中頃になりそう。満開と、週末と、晴天が揃うことって、中々難しい。もう数日、花の期間が長ければ良いのにねぇ。