IN/OUT (2015.3.15)

元々は、イラチが多い関西で始まったというエスカレーターの片側空け。すっかり日本中に定着していて、私も大概はエスカレーター上を歩いているのですが、最近では、安全性の観点で、歩行禁止を呼びかける場所も増えてきました。海外でも、片側空けがマナーになっているところもあれば、禁止しているところもあるようですね。


in最近のIN

"The Imitation Game"15.3.14

コンピュータの基礎となる概念を発表したことで高名なAlan Turingを描いた映画を観てきた。

映画は、第二次大戦中、Turingがドイツ軍の暗号「エニグマ」を解読するために奮闘した時期を中心に、パブリック・スクール時代の想い出と、1952年、同性愛の罪(当時のイギリスでは、法律違反だった)で逮捕された時を並行して描く。

暗号解読という地味な題材を、分かりやすく、かつ、ドラマチックに語るくだりは、非常に優れた演出で、これだけでも、十分にワクワクする。しかし、この映画は、もっと多面的な要素で出来ている。もちろん、Turingにまつわる有名な逸話が網羅された伝記映画としての側面も有る。ここで描かれるTuringという人。同性愛者にして、天才肌。他人とのコミュニケーションは苦手で、空気が読めないと言うか、周囲の人が語る言葉の機微が理解できないため、その姿は傲慢に見える。自分の身近にいたら、かなり面倒くさい存在に違いない。そして、この映画の肝は、そんな彼の「普通とは違う」ことによって向き合わざるを得なかった苦悩だ。

実際、エニグマの解読に成功したことは長く秘密にされ(それが漏れれば、また新しい暗号に切り替えられてしまうため)、同性愛の罪で有罪判決の結果、女性ホルモンの投与による化学的矯正という今では信じられないような処置を取られた末に、青酸カリによる死亡(自殺か事故死かは不明)と、「普通とは違う」彼の人生は実に辛いものだった。英国政府が、彼に対する処罰が不当だったと認めたのは2009年。そして、2013年になって、エリザベス女王から恩赦が与えられたいう。その業績で、連合国を勝利に導き、数千万人の人々を戦争による死から救い、今日のコンピューターの基礎を築いたのに、である。

Turingを変人の天才数学者ではなく、観客にも感情移入できる魅力的な人物としたBenedict Cumberbatchの演技が素晴らしい。そして、彼を取り巻く脇役陣の好演が、Turingの「普通とは違う」ことによる苦悩という部分を引き立たせている。Keira Knightleyは、当時の女性としては、ちょっと現代的な美人すぎるという気もするが。



ただ、片側空けの是非が徹底されていない現状が、一番、非効率。相変わらず、ほとんどの人が、(東京では左側)に一列で立っているので、これでは、エスカレーター本来の輸送能力の半分しか使われていないことになってしまいます。イラチの私としては、シンガポールの地下鉄のエスカレーターのように通常の1.5倍くらいのスピードで動かしていただいて、皆、二列で立つというのを推奨したいところですが、これはこれで、速すぎて危険だと言われちゃうのだろうな。