IN/OUT (2015.1.25) |
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日頃使っているクレジットカードは、ポイントを全てシンガポール航空のマイレージに交換するようにしていたのですが、全く利用する暇が無かったということで、そろそろ見直そうかなと思う今日この頃です。 最近のIN"Big Eyes" (15.1.24)Tim Burton監督の新作を観てきた。 舞台は1950年代後半から60年代の米国。妻が描く「大きな目の少女」の絵を、自らの作品として売りまくる夫。画家を目指しながらも、芸術的才能ではなく、口の上手さと商魂に恵まれた夫と、田舎で世間知らずのまま育った内気な妻。絵は爆発的に売れ、商才に長けた夫は、ポスターや絵葉書の大量印刷でさらに大儲け。ポップアートの先駆けとなる。しかし… というお話。実話であり、モデルとなった女性は80歳を超えた今も健在だそうだ(夫の方は、既に他界)。 虚栄心の強い夫のマインド・コントロールの下、誰にも真実を打ち明けられないまま、アトリエに閉じ込められ、絵を描き続ける妻。語り口によっては深刻な話になりそうだが、Tim Burtonの演出はユーモアに溢れ、軽やかだ。彼自身、モデルとなった女性 Margaret Keaneの大ファンらしいが、ちょっと不気味な作風だけど、大衆に受け、芸術と商売の狭間に迷う、というのは、Tim Burton本人にも当てはまるだろう。 主演の二人、Amy AdamsとChristoph Waltzの演技が素晴らしい。二人が出会うシーン。どう見てもお調子者で信用できない奴なのに、世間知らずのヒロインが惹かれてしまうところなど、Christoph Waltzだからこそ出せる説得力だと思うし、終盤の、意思を強く持つようになった妻と、滑稽さすら感じる悪役になった夫を演じる二人の表情は、見応え十分。 実話がベースと言うことで、Tim Burtonの監督作にしては「普通」の物語だが、だからこそ、彼の映画作家としての力量が良く伝わる作品だと思う。特に、計算され尽くした構図には、感心することしきり。良い映画だ。 これまでに、シンガポールまでビジネスクラスで数往復できるだけのマイルが切り捨てになってきた訳で、恨むべきは、自分の余暇時間を捻り出す能力の無さだなぁ… |