IN/OUT (2015.1.18)

昨年の秋には、「この冬は暖冬傾向」という発表があったと記憶しています。冬の始まりは、かなりの寒さで、大外れだと思っていたのですが、ここに来て、少し緩んできているような感じもしますね。


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"The Punk Syndrome"15.1.17

フィンランドのパンク・ロック・バンド、Pertti Kurikan Nimipäivät に密着したドキュメンタリー映画を観てきた。フィンランド語の原題は"Kovasikajuttu"。このバンド、音楽的には、原点回帰したような普通のパンクだが、メンバー全員が知的障害者というのが特徴だ。ただし、この映画は、福祉について考察するドキュメンタリーでは無い。あくまでも、パンク・バンドについての映画だ。

元々は、施設のワークショップの一環として結成された、ギター、ベース、ドラムス、ヴォーカルの四人編成のバンドだが、リーダーでギタリストのPertti Kurikkaは、作詞・作曲、さらにレコード・ジャケットのイラストも手がける才能の持ち主。四人の個性がぶつかり合う練習では、トラブル続出だが、いざ本番になると、実力を発揮。施設に対する不満などをストレートに叩きつける歌詞と、意外に上手い演奏、そして、パワフルなライヴ・パフォーマンスで注目され、レコードのリリースや海外ツアーもこなし、フィンランド大統領主催のダンスパーティーにも招待される人気者になる。

映画では、そういった音楽活動だけで無く、バンド・メンバーの日常生活にも密着している。障害者ゆえのエキセントリックな面もあるが、恋人との結婚の夢を語る姿や、誕生日パーティーで喜ぶ様子など、普通の人以上に真っ直ぐに感情を表現する姿が熱い。

その背景には、福祉国家フィンランドの手厚いサポートと、周囲の人の協力があることは言うまでも無い。そして、その周囲の人の協力が、とても自然なのが印象的だ。彼らの知的障害を、一つの個性として受け止めた上で、普通に接している。これは、中々出来る事じゃ無いよなぁ。

ドキュメンタリー映画の文法は、私はどうも苦手で、この映画も前半は眠くなったのだが、徐々にバンド・メンバーの個性が際立ってくるにつれ、どんどん引き込まれていった。リーダーのPerttiの、とにかく服の縫い目が気になって、いじらずにはいられない癖など、一人一人が、独特の癖や言葉を持っているのだが、それを、変に隠すことも、過剰に笑い飛ばすこともしない編集が上手い。まるで、メンバーそれぞれが、ここぞという時に「持ちネタ」を繰り出すようで、場内には何度も笑いが起こる。ライヴ・パフォーマンスの迫力と、歌詞に込められたメッセージ。そして、笑い。真っ当な、パンク映画だった。



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「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」15.1.12

日本科学未来館 先日の「八木良太展 サイエンス / フィクション」が、とても良かったので、さらに大規模と評判の科学ネタの展覧会を観に、日本科学未来館へ行ってきた。ウルトラテクノロジスト集団を名乗るチームラボ株式会社による大規模展示である。

正午頃、日本科学未来館に到着したのだが、入場待ちの長蛇の列。90分待ち。せっかく来たのだから、と思って並んだのだが、周りの人が話しているのを聞くと、元々、休日は混んでいたところに、数日前にTVのワイドショーで紹介され、さらに大混雑になっているようだ。小さな子供連れの人が圧倒的に多いのだが、列を仕切っている鎖を、親が率先してくぐり抜けるなど、お行儀のよろしくない奴らが目立つ。入館前にイライラが募る。

結局、100分ほど並んで、ようやく入場。あまり事前知識無しに行ったのだが、展示の中心は大型スクリーンに投影されるCG作品だ。ちょっと、和風テイストの絵柄が多い。空間の作り込みは素晴らしいし、インタラクティブな仕掛けが施してある映像など、とても凝っていると思う。恐らく、もっと空いているときに来て、子供に混じってインタラクティブな仕掛けを体感すれば、とても興奮するだろう。しかし、散々並んだ後、満員の会場で観ていると、どこか頭でっかちと言う印象が強い。自らをウルトラテクノロジスト集団と名乗っちゃうセンスが、私にはダメなようだ。

テクノロジーと手作り感が共存していた「八木良太展 サイエンス / フィクション」の方が、圧倒的に私は好きだな。



平均すれば、普通の冬なのかなと思っているところに、そろそろ、今年のスギ花粉のピークは、東京で3月上旬。飛散量は昨年より大幅増、という予報も聞こえてきました。早くも憂鬱に…