IN/OUT (2015.1.11)

年が明けて一週間も経っちゃえば、昨年末に反省したことなど、早くも忘れてしまうものですね。


in最近のIN

"Sin City: A Dame to Kill For"15.1.10

Frank Millerのグラフィック・ノヴェルの映画化作品を観てきた。邦題は「シン・シティ 復讐の女神」。2005年製作の"Sin City"の続編である。

舞台は、欲望と悪徳が渦巻く「罪の街」。街の権力者と対決する流れ者。権力者への復讐を遂げようとするストリッパー。魔性の女に取り憑かれ墜ちていく男達。と、いくつかのストーリーが並行して描かれる。どのストーリーも、エロでグロで、過剰な暴力に溢れる、まさにFrank Millerの世界。

画面は、コントラストを高めたモノクロ。そこに、一部だけカラー画像が混じる。オリンパスのカメラで言えば、「ラフモノクローム」と「パートカラー」の二つのアートフィルターを適用したような、独特の映像だ。時に、スタイリッシュと言うよりも、劇画チックに暴走する画面は、監督を務めた、Frank MillerとRobert Rodriguezの趣味全開。Eva Greenの悪女っぷりや、Mickey Rourkeの無頼漢ぶりも見応えがあり、嫌いじゃ無いんだけど、やり過ぎ感も強いかな。そんな中、ストリッパー役のJessica Albaは、ちょっと、出し惜しみじゃないか?


「八木良太展 サイエンス / フィクション」15.1.11

八木良太展@神奈川県民ホールギャラリー 八木良太の個展を観に、神奈川県民ホールギャラリーに行ってきた。

既製品を用いながら、日常空間をちょっと視点をずらして捉え直したようなインタラクティブな作品が並ぶ展示は、予想以上に面白いものだった。

例えば、この黒い球体の表面には、カセットテープが巻かれていて、それを回転させ、ヘッドを接触させて音を発するようになっている。八木良太は1980年生まれ。たぶん、こういったアナログの音響機器はリアル・タイムじゃ知らない世代ではないだろうか? だからこその発想なのかもしれない。この他にも、壁にかけられたレコード盤が回っていて、観客が自由に針を当てることができる作品も展示されていた。会場の係員の人によれば、「レコード盤に針を当てて音が出ることを知らない若いお客さんも多い」とのこと

八木良太展@神奈川県民ホールギャラリー この、カラーボールが空中に配置された作品は、特殊な眼鏡を装着して観ることで、立体感が増すというか、何かズレて見えるという仕掛けが施してあり、非常に印象的だったのだが、写真じゃ伝わらないな…

八木良太展@神奈川県民ホールギャラリー 変わったところでは、このたこ焼き器。これが、楽器である。ラックの下には、たこ焼きを焼くための屋台道具一式がちゃんと準備されているのだが、残念ながら、展示では発泡スチロールの玉がたこ焼きの代用として置いてある。で、観客は、このたこ焼きを自由に配置し直すことが出来る。たこ焼きの配置は、上部に備えられたカメラでリアルタイムに解析され、その配列が音に変換されるという仕掛け。馬鹿馬鹿しくも、大真面目にやっているところが楽しい。

八木良太展@神奈川県民ホールギャラリー この展覧会の困ったところは、パッと見ただけでは、意味が分からない作品が多いこと。壁に解説文のようなものは無く、入り口で渡される紙に書かれた説明文も、決して親切なものでは無い。例えば、この部屋。机の上には、水面の様子が天井から投射されている。部屋の中央には、水に浮かんだLPレコード。そして、別の机の上には、ワイヤレスのヘッドホンが置いてある。

このヘッドホンを装着すると、海の音が聞こえる。そして、ヘッドホンを付けたまま机の下にしゃがみ込むと、聞こえてくるのが海中の音に変化する。

あのLPレコードには、表面に海上の音。裏面に海中の音が録音されているということなのだ。これ、レコードに、表裏両面があることを知らない若い世代には、ちんぷんかんぷんじゃないかな?

この他にも、興味深い展示がたっぷり。分かりづらい展示の前で首を捻っていると、親切な係員が声をかけてくれる。神奈川県民ホールギャラリーという地味な会場だが、非常に好印象の展覧会だった。



正月休み直後に、三連休。仕事的にはペースが取り戻せないという弊害もあるけど、徐々に身体を慣らすという点ではありがたいですね。