IN/OUT (2014.2.23)

中・高校生の頃に全作読破したアガサ・クリスティの著作を、改めて、発表年順に再読中。こういうとき、Kindleは便利ですな。それにしても、読破したはずなのに、内容の大半を忘れてしまっていることに愕然とする今日この頃です。


in最近のIN

"Chalo Dilli"14.2.22

インドの娯楽映画を観てきた。邦題は「デリーに行こう!」。飛行機のトラブルに巻き込まれた主人公が、アクの強い迷惑親父と珍道中というコンセプトは、ハリウッド映画"Due Date"の翻案ということだが、元ネタとは大幅に改変されたボリウッド作品になっている。

ムンバイで投資銀行の女社長を務める主人公。デリーに向かうはずが、飛行機のトラブルでジャイプールで降ろされてしまう。やむなく、車を雇ってデリーに向かおうとするが、そこに同じ飛行機に乗っていた布地屋の親父が同乗してきて巻き起こるトラブルの数々。数時間でデリーに着くはずが、とんでもない騒動に巻き込まれていく、という筋立て。

猥雑な大都会、ギャング団が支配する田舎町、果ては狼の出没する荒野までが広がる広大な国土。そこに、超近代的なマンションで清潔な暮らしを送る金持ちと、子供を学校にも通わせられないような暮らしを強いられる人々が共存するというインドのカオスさが物語の背景で、これはハリウッド映画では出せない味わいだ。

「大した問題じゃ無い」が口癖の布地屋の親父が巻き起こす大トラブルに翻弄されながら、今まで付きあったことが無かった貧しいけど人間味溢れる人達と触れ合うことで、クールビューティーだった女社長の心がほぐされる様子と、親父が抱えていた本当の「大した問題」が明らかになるラストが、何とも分かりやすい「感動」を呼ぶ。ただ、最後の最後まで「強引なまでに感動的なハッピーエンド」を押しつけてくるところが、いかにもインド映画。この分かり易さを素直に受け入れられるかが試される映画だ。同じような演出を、ハリウッドや日本映画でやられると、鼻白んでしまうが、インド映画だと受け入れてしまうのは、私の依怙贔屓である。

2011年の作品が今頃日本公開ではあるが、とにもかくにも、インド映画の公開本数が随分と増えてきて嬉しい。ただし、土曜レイト・ショーのオーディトリウム渋谷の観客は7人だったが…



新しい翻訳で読み返すと、戸惑う箇所もあります。「そして誰もいなくなった」の舞台。私は「インディアン島」で覚えていたのですが、今の訳は「兵隊島」? 調べてみたら、英語でも、オリジナルの"Nigger Island"が、差別用語としてアメリカ版では"Indian Island"になり、そして今では Indianも差別用語として"Soldier Island"に改編されているのですね。面倒くさい世の中だけど、仕方ないのかなぁ。