IN/OUT (2013.12.22) |
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近所の工事現場に、なにやらオブジェが。 季節柄、クリスマス・ツリーに模した照明を、建設中のビルの屋上に設置されているクレーンから吊り下げているようです。誰が喜ぶのか?という気もしますが、まあ縁起物ですかね。一応、公共機関の工事現場なので、目尻をつり上げた人達が怒鳴り込んでこなければ良いね、と思う年の瀬です。 最近のIN"La migliore offerta" (13.12.21)イタリアの映画監督、Giuseppe Tornatoreの新作を観てきた。英語タイトルは"The Best Offer"。邦題は「鑑定士と顔のない依頼人」。 主人公は、初老の美術品鑑定士にして、競売人。食事中でも手袋を外さない潔癖症の彼は、生身の女性と付きあったことがなく、自宅に作った隠し部屋で、密かに集めた古今の女性肖像画を眺めるのが楽しみという設定。対象が名作絵画と言っても、結局は、二次元オタク。お金持ちで、身なりも紳士然としているが、オタクなのである。 そんな彼の元に、親から引き継いだ遺産の鑑定依頼が届く。依頼人は若い女性らしいのだが、「広場恐怖症」のため自室に引きこもったままだという彼女は、直接顔を見せることがない。そんなミステリアスな女性に惹かれた主人公が、馴れない恋に翻弄されていく様が、美しい映像で展開していく。 最終的には、美術品に対しては高い審美眼を持つ主人公にも、愛を鑑定することはできなかったというオチに至るのだが、オタクに感情移入して観てしまうと、かなり落ち込むラストである。 丁寧な語り口と映像の美しさを堪能したが、これをミステリ映画としてみると、評価は厳しくなる。ちょっと、仕掛けられた罠が大掛かりすぎて、現実味が無いのだ。まあ、そういう見方は無粋だとは思うが… "20 Feet from Stardom" (13.12.22)アメリカ音楽界の「バックシンガー」を取り上げたドキュメンタリー映画を観てきた。邦題は「バックコーラスの歌姫たち」。例によって、頭の悪そうな邦題だ。どう考えても、原題の方が素敵だと思うぞ。 David Bowie、Mick Jagger、Sheryl Crow、Bruce Springsteen、Sting、Stevie Wonder、David Byrne、Ray Charlesなどなど、錚々たるメンバーが出演し、彼らのインタビューだけでなく、ライヴ・シーンもふんだんにあるが、このドキュメンタリーの主役は、後ろで歌うコーラス・ガールの皆さんの方である。歌唱力は一級でも、センターに立つことの無い彼女達をまっすぐに見つめた、とても良心的に作られた作品だと思う。 ソロ・シンガーを目指すも挫折した人、自分がリード・ヴォーカルでレコーディングした作品が他人名義で発売された人(Phil Spectorって、やっぱり悪人だ)、様々な境遇をくぐり抜けてきたベテラン・シンガー達の言葉には、それぞれ重みがある。ステージのセンターに立つ人達、Mick JaggerやStingが、いくら彼女達のパフォーマンスを褒め称えても、センターとバックシンガーの間には、大きな壁があることも事実で、それでも誇りを持って歌い続ける彼女達の姿勢の凜々しいこと。 ドキュメンタリー映画というのは、あまり得意じゃないのだが、この作品は、観る価値のあるものだった。ラストに流れる「LEAN ON ME」に涙。 週末は、職場の同僚と、カラオケ・ボックスへ。ロック好きな四人で、各自DVDを持ち込んで、それを観せあうという企画でした。イギリスの、あまりにもマニアックなプログレ・バンド「ENID」から、王道「The Rolling Stones」まで。参加者では、自分が最年少。ロックは、もはや中高年の嗜みですな。 |