IN/OUT (2013.10.27)

台風が逸れてくれて、あまり荒れることもなく、一安心。自然災害は、肩透かしで良いですな。


in最近のIN

「Constellation」@ 原美術館13.10.26

原美術館原美術館の中庭を舞台にした、奥秀太郎の演出によるプロジェクション・マッピングとパフォーマンスを組み合わせたシリーズの第三弾を観てきた。このシリーズ、私は、これまで皆勤賞である。

今回は、奥秀太郎が監督した新作映画「星座」の内容をモチーフにしたもの。これまでと同様、音楽は松本じろ、振り付けは黒田育世。ただし、黒田さんは体調不良のため出演は取りやめになり、映像(映画「星座」の一部)での登場だけになってしまった。生身の出演者は、鶴田真由、美波、宮河愛一郎、他。有名女優が二人も出演というのは、このシリーズの中でも豪華版と言えるだろう。

台風の接近が心配されたが、雨も上がり、無事に開催。ただし、パフォーマンスとしては、今一歩感が拭えなかった。静と動の対比という点で、「静」があまりにも勝りすぎていたように思う。簡単に言っちゃえば、勿体付けすぎ。あと、黒田さんの出演中止のため、ダンス・パフォーマンスを見せつけてくれたのが、ダンサーの宮河さんだけなのが寂しい。芝生の上を縦横無尽に、時には観客の至近距離で踊る宮河さんに対し、女優陣の動きが物足りない。また、プロジェクション・マッピングによる映像も、モノクロの抽象的な物が多く、既存の建物が全く違った姿を見せるというような驚きが無いのが残念。

これは、派手な映像で観客の度肝を抜くだけのプロジェクション・マッピングを脱し、光と影が生み出す効果をストイックに追求した結果と言えるかもしれない。シルエットに演技をさせるという演出は効果的だったし、時折、中庭全体が異空間になったような、ゾクゾクする瞬間も何度かあった。渋いプロジェクション・マッピングだった。


「星座」先行イベント上映@ 原美術館13.10.27

その、奥秀太郎監督の映画「星座」。11月の一般公開に先駆け、原美術館で先行上映が行われたので、観に行ってきた。

出演は、黒田育世、Fabien Prioville(フランスのダンサー。ヴッパタール舞踊団に所属し、Pina Bauschに認められた実力者だそうです)、占部房子、他。音楽は松本じろ。

一応、ストーリーはあるが、商業娯楽映画的な盛り上がりとは無縁。私の得意分野では無いが、黒田さん演じる聾唖の女性と Fabien Priovilleが演じる密航者が出会い、言語では無く肉体の動きで感情を交わらせていく場面などは、さすがに見応えがある。ただ、意外にダンス・シーンは多くない。あまりストーリーに拘らず、もっと、「動き」を見せてくれた方が、楽しめたかな。

前日に観た「Constellation」は、この後日談かもしれない、という感じもあり、二つ続けて美術館で鑑賞するのは興味深かったが、この映画だけを、街中の映画館で観るのはキツいかもしれない。


「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」@ 原美術館13.10.27

原美術館「星座」絡みのイベントだけで無く、原美術館では通常の展覧会も開催中。今やっているのは、森村泰昌が1994年に原美術館で開催した「レンブラントの部屋」を再現したもの。

会場に入ってすぐの部屋では、三島由紀夫風に扮装した森村氏が、アジテーションをしているビデオ作品。ここで一笑いした後、ギャラリーには、17世紀の巨匠 レンブラントが残した数多くの自画像に、森村氏自身のセルフ・ポートレイトを組み合わせた作品が展示されている。さらに、廊下には、それらの作品のための「表情研究」が並ぶ。

ギャラリーの壁の色や照明にも拘り、闇と光の対比が印象的なレンブラントの世界を盛り上げている。そして、最後の部屋。それまでのギャラリーが17世紀のロウソクの時代だったのに対し、最後は大量の光に溢れた現代を象徴するような衝撃的な作品「白い闇」で締める。巧みな構成だ。

森村氏の作品は、有名だけれど、ちょっと食わず嫌いなところがあったのだが、さすがの力量だと感心。ただ、さすがに「白い闇」で終わるのは気が重いので、常設作、奈良美智の「My Drawing Room」を観て和む。



原美術館しばらくぶりの原美術館。中庭に面したカフェも、ちょうど心地よい気候になりました。

ただ、朝晩はすっかり冷え込むようになった今日この頃。服を入れ替えたり、布団を出したりって、面倒くさくて、嫌いっす。