IN/OUT (2013.10.6) |
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10月に入り、仕事面の環境もちょっと変化。席替えやらなんやらでバタバタしつつも、一向に暇にはならんなぁ… 最近のIN"L'écume des jours" (13.10.5)Michel Gondry監督の新作を観てきた。邦題は「ムード・インディゴ うたかたの日々」 原作は、Boris Vianの「うたかたの日々」。1947年に出版された、カルト的な人気を誇る(当時としては)前衛小説だ。ストーリー自体は、「一組の男女が恋に落ちるが、その女性が病気になり、死んでしまう」というシンプルなもの。しかし、ヒロイン、クロエが冒されるのは、肺の中に睡蓮の花が咲くという奇病なのだ。私が読んだのは、しばらく前のことだが、そのイマジネーションの豊かさと繊細さが、とても印象的だった。意外にSF的な要素もあったりするのだが、とにかく、あまりにもぶっ飛んでいて、決して読みやすい小説では無かったが、その分、印象の残り方も、とても深い。 肺の中に咲く睡蓮の花の他にも、ハツカネズミが重要な登場人物(!)だったり、シナモン・シュガーの味がする雲に乗って二人がデートしたり、蛇口から顔を出すウナギを調理したり、どうやって映像化するのか?というイメージが頻発する小説なのだが、さすがMichel Gondry監督。見事に、原作に忠実と言って良い映像に仕上げてきた。 ただし、この作品、キッチュで可愛らしいのは前半まで。後半、クロエの病気が重くなるにつれ、ストーリーも重苦しくなり、画面からも色彩が失われていく。それもまた、原作通り。この小説の有名な惹句「最も悲痛な恋愛小説」を実感させられてしまうのが、なんとも切ない。 クロエを演じるのは、Audrey Tautou。もう少し、若い女優さんでも良いような気がするが、"Ameri"で一世を風靡してから12年。いまだにフランス映画で「不思議ちゃん」と言えば、彼女になるのか。 原作を読んでない人がついてこられるのか、心配になる部分もあるが、Gondry監督が仕掛ける不可思議な映像が堪能できる作品だ。映画を先に観た人にも、是非、原作を読んでもらいたいと思う。 気の早いゆりかもめが一羽、近くの運河に飛来していました。まだ、昼間はちょっと暑いけど、いよいよ秋本番です。 |