Ultravoxのフロント・マン、Midge Ureのソロ公演を観に行ってきた。
Ultravoxは、1975年結成。初期のリーダー、John Foxxが率いていた時代は、ニューウェイヴの先駆けとして評価はされていたが、商業的なヒットとは無縁。1980年、John Foxxが去り、代わりに加入したのが、Midge Ure。彼の参加後、Ultravoxは、大ブレイク。当時の、ニューロマンティック・ブームを代表するバンドとなった。私も、この時期のUltravoxが大好きである。しかし、バンドのサウンドは、徐々にエレクトロニック色が薄れ、Midge Ure本来の個性と思われる明朗ポップス路線にシフトしていき、一旦活動休止。Midge Ureはソロ活動に移行。しかし、昨年、Ultravoxとして、久々にアルバムを発売。ということで、できれば、バンドで来日して欲しかったのだが、今回はソロ名義での公演である。
それでも、演奏曲の多くはUltravoxの作品、中でも、私の大好きな"Vienna"を演奏してくれたのが嬉しい。また、彼が参加していたVisageの"Fade to Grey"も披露。ニューロマンティックを代表する1980年の二曲を、33年後にライヴで聴けるとは、感無量だ。
ただし、ルックス面では、ニューロマンティックの面影は全く無い。Midge本人と、ベース、ドラム、キーボードの三人のバッグバンド、ステージ上の四人のうち三人がスキンヘッド。禿げ頭率75%。
今年で還暦のMidge Ureだが、外見はともかく、歌唱力、ギター演奏、ライヴ・パフォーマンス、いずれも、衰えた感じは無く、予想以上にカッコ良い分厚いサウンドを聴かせてくれる。また、MCからも、陽気で人を惹きつける性格が伝わってくる。この性格と、明朗なポップ・センスが、イギリス音楽界での人望を集め、ひいては、オールスターによるチャリティー・ソングの草分け、1984年 Band Aidの"Do They Know It's Christmas"をBob Geldofと共作し、大成功させたことにつながったのだろうと思う。
個人的には、もう少し、ニューウェイヴ寄りの音で聴きたかったという気もするが、ポップなMidge Ureの曲は、どれも楽しい。特に、ラストの二曲、"Hymn"と"Dancing With Tears In My Eyes"の二曲は、大盛り上がり。大満足である。
この盛り上がりには、ビルボードライヴの音響の良さ、さらには、今日の客層の良さも大いに貢献していたと思う。多くのお客さんが、ほとんどの曲を一緒に歌える。しかも、はしゃぎ過ぎず、でも、歌うべきところでは拳を突き上げて大合唱。さすげ、ベテラン・ファンを多く抱えるMidte Ureなのである。