IN/OUT (2013.2.17)

（今回もまた！）インドを舞台にした映画を観てきた。

老後の長期滞在用としてインドのジャイプールにオープンしたホテルにやってきた、それぞれに事情を抱える英国人男女 7人。しかし、そのホテルは、ネット上の宣伝とはかなり違うおんぼろの建物だった…。というお話。

内容は、そこから想像が付く通り。インドの異文化に戸惑いながら、それぞれの人間模様が展開していく人情コメディだ。特徴的なのは、主要登場人物である英国人7名が、皆、高齢者ということ。そのため、派手さは無く、物語は淡々と進む。とはいえ、そこは、肉食の白人達。高齢者でも、恋に悩んだり、カーマスートラでそっち方面の勉強をしたりするのは、さすがだ。さらに、彼らの多くが、インド社会にどんどん溶け込んでいくのは、旧宗主国であり、英語が通じるからか。同じ設定で、登場人物が日本のおじいちゃん・おばあちゃんだったら、かなり違う展開になったと思う。

どうしても、イギリス人の上から目線という感じになりそうなインド庶民生活の描き方は、なかなかフェアだと思う。若者代表として登場する、ホテル経営者であるインド人青年と、そのガールフレンドも、いかにもインドの現代っ子らしく、好感が持てる。

出演者は、Judi Denchら、ベテランの大物俳優が揃っているが、中でも、Maggie Smithの演技が素晴らしい。偏屈な人種差別者として登場し、ラストでは予想外の大活躍。1934年生まれの大女優。見事な存在感だ。

いかにも予定調和的な、安心して観ていられる軽いコメディだが、インド人若者カップルと英国人老カップルが交錯するラストの爽やかさも含め、嫌みの無い好作品だった。