IN/OUT (2013.2.3)

Tom Cruiseの新作を観てきた。主人公の名前というシンプルな原題に対し、邦題は、なぜか「アウトロー」。

Tomが演じるJack Reacherは、高い身体能力に加え、抜群の記憶力と推理力を持つ、元陸軍の捜査官。退役後は、特定の住所も、運転免許もクレジットカードも持たず、法に頼らず、自分自身だけを信じ、流れ者として暮らしているという設定。

軍隊時代に関わりがあった者が起こした事件に主人公が巻き込まれる冒頭の展開は、とてもスピーディーで期待が持てる。Rosamund Pike嬢が演じる女性弁護士が登場して、軽妙な絡みを披露するところまでは、これは傑作という感じがした。

しかし、その後の展開がダレてしまう。事件の真相はかなり単純で、これで130分は長過ぎるだろう。

自らプロデューサーも務めているだけに、Tom Cruiseらしさは全開。ただ、あまりにもTom Cruiseらしいのが、興ざめだ。超人的な能力を持ち、ニヒルに見えて、ここぞという時に優しさを見せる。もう、絵に描いたようなかっこよさ。製作陣は、これをTom主演でシリーズ化したいと考えているようだが、すぐに飽きちゃうような気がする。Lee Childの原作シリーズは世界中でベストセラーということだが、日本ではあまりメジャーではないのは、この底の浅さに原因があるような気もする。

なお、監督・脚本のChristopher McQuarrieは、Tomの人気シリーズ次回作"Mission: Impossible 5"の監督・脚本にも決まっているようだ。そうすると、「分かりやすくカッコイイ」Jack ReacherとEthan Hunt、どのように個性を出していくのか、他人事ながら心配だ。まあ、Ethan Huntは、国際的な大事件を担当し、Jack Reacherはしょぼい犯罪に巻き込まれる、ということなのかなぁ。