Bruce Wills、Joseph Gordon-Levitt主演のSF映画を観てきた。
2074年にはタイムトラベルが発明され、犯罪組織は、邪魔者を30年前に送り込んで始末することを始める。そして、この映画の舞台は、邪魔者が送られてくる2044年。主人公は、送られてきた人物を淡々と処分する殺し屋だ。しかし、ある日、彼の目の前に送り込まれてきたのは、30年後の自分だった。という設定。2044年の主人公がJoseph Gordon-Levitt。30年後の彼がBruce Wills。
かなり捻った設定だ。いきなり目の前に現れた禿げのおっさんが30年後の自分とは、主人公の心痛はいかなるものかという気もするが、もちろん、そんなところには拘らない。ストーリーは予測不可能な方向に二転三転していく。前半の展開がまどろっこしいのだが、中盤以降はテンポも良くなる。
ラストは、当然、サプライズを効かしたものになっているが、ループする時間の中で、主人公は呪われた宿命だったのね、という感じで、あまりカタルシスは感じず。
この手の物語で、製作者のセンスが問われるのがタイム・パラドックスの扱いだ。この映画では、かなりあっけらかんとした扱い方。同時代に二人存在する主人公。若い方がリアルタイムで経験することが、年老いた方の記憶にも刻々とインプットされていくというのは、中々斬新。まあ、それでも納得の行かないところは多々あるが。その辺の整合性よりも、ループする時間の中で自らの宿命に向き合う主人公を描くことが、この映画のテーマなのだろう。
映像、特に色彩と構図は、なかなか凝っている。ラストの方では大友克洋の「童夢」を思わせるイメージが出てきたりして、ニヤリ。
パッと見はBruceに似ても似つかないJoseph Gordon-Levittが、ちょっとした面影(特殊メイクをしているらしい)や、喋り方、佇まいなどで、ちゃんとBruce Willsの若い頃っぽく見えてくるところも面白く、大作という感じはしないが、気の利いた映画だ。