IN/OUT (2012.7.1) |
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一度付いた下腹の脂肪は無くならず、体力は続かなくなり、アルコールには自覚している以上に弱くなっている。加齢という呪いは強力っす。 最近のIN"Attack the Block" (12.6.30)英国産のSFアクション映画を観てきた。 宇宙から飛来した凶暴な生物と戦うという、ド定番の内容だが、舞台がロンドンの公共団地。戦うのは団地内の不良少年達。というのが目新しい設定だ。ローティーンの悪ガキなので、エイリアン相手に重火器なんかは使わない。ニンジャ風の刀と打ち上げ花火が主な武器。一方、エイリアンの方も、特別に凄い能力がある訳じゃ無い。こけおどし的に口が光る他は、単なる猛獣。風呂敷を拡げ過ぎない、ご近所感溢れるアクション映画だ。 悪ガキばかり活躍する映画だが、良識ある大人として一人奮闘するJodie Whittakerが良い味を出している。監督のJoe Cornishは、映画"Hot Fuzz"では役者として出演していた人。そこで共演していたNick Frostがこの映画にも出演(活躍はしないが、存在感は大)。さらに、"Hot Fuzz"の監督Edgar Wrightが、この映画の製作総指揮を務めている。ということで、今後の英国ジャンル映画界を背負う人脈が揃った作品という見方もできそうだ。 もう少し、エイリアンの造形に工夫があっても良かったような気もするが、小気味よいB級映画として、うまくまとまった作品だと思う。 "This Must Be the Place" (12.7.1)Sean Penn主演の映画を観てきた。監督はイタリア人のPaolo Sorrentino。イタリア・フランス・アイルランドの合作映画だ。邦題は「きっと ここが帰る場所」 Sean Pennが扮するのは、アイルランドで隠遁生活を送っている元ポップスター。深く皺の刻まれた顔に、いまだにメイクを施して日々を送っている。監督のインタビューによれば、そのスタイルは、The CureのRobert Smithをモデルにしているということだが、確かに黒ずくめの服装、アイシャドウ、口紅、そして特徴ある髪型。Robert Smithっぽい! さらに、この映画のタイトルは、もちろん、Talking Headsの名曲から取られているもので、David Byrne自身が、映画の中でライヴ演奏を披露している。主人公が現役で活躍していた時代からの友人という設定で、ちょっとした演技も見せてくれる。Talking HeadsやThe Cureが好きな人には、なんとも堪らない映画なのだ。 とはいえ、Sean Penn主演にも関わらず、米国では映画祭で上映された以外、一般公開されていないこの映画、かなりの曲者でもある。説明的な台詞がほとんどなく、登場人物達の人間関係や、主人公がショービジネス界から身を退いた理由など、重要なことが簡単には分からない。物語の後半を突き動かすのが、ナチスの残党狩りという意外さも、なんともアンバランスだ。 製作陣にとって「外国」である米国の描き方も独特だ。彩度を思いっきり高めに設定した映像。David Byrneの"True Stories"を彷彿とさせるようなエキセントリックな登場人物達。 こちらの予想や期待を次々と裏切りながら、通奏低音のように哀しみが響く物語は、緩いテンポで進んでいく。Sean Pennの存在感とDavid Byrneの歌声がなければ成立しなかったと思える、なんとも不思議な雰囲気のある映画だった。 もちろん、努力すべき事は努力するべきな訳で。とりあえず、「ほろ酔いで止める」というのを、当面の目標にしようかしらん。 |