IN/OUT (2011.4.17) |
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先週末は、関西に行っていましたが、震災影響が全く感じられない町の様子に、かなりの違和感がありました。 もっとも、阪神・淡路大震災の直後も、神戸や西宮の混乱に対し、大阪は普通の日常風景が続いていた記憶があるので、こんなものなのでしょう。ただ、TV CM の多くがACに差し替えられている状況は同じ。むしろ、「ポポポポーン」のオンエア頻度は、関西の方が高いかも。 最近のIN"The Killer Inside Me" (11.4.16)Jim Thompsonの小説の映画化作品を観てきた。もちろん、タイ・シルク関連ではなく、ノワール小説の大家の方の、Jim Thompsonである。Stanley Kubrickの"The Killing"の脚本や、Sam Peckinpahの"The Getaway"の原作小説を手がけている人だ。 1940年代、アメリカの田舎町を舞台に、一見、善人だが心に闇を抱えた保安官助手が犯す犯罪が淡々と描かれる。自分の行動に罪悪感を覚えず、都合の良い自己正当化で身を包んだ彼の一人称で語られるストーリーは、見ている側の心を不安定にさせる。感情移入するには、あまりに自己中心的な性的倒錯者なのだが、完全否定もできない。タイトルの"Me"が示すのは、主人公のことだけでなく、観ている観客のことでもあるようだ。「好き」と公言するのははばかれるような映画ではあるが、ちょっと引っかかる作品だ。 下世話な見所と言えば、Jessica Albaのお色気シーンである。田舎町の娼婦役らしい垢抜け無いメイクでも、やはりお美しい。一方、もう一人のヒロイン、Kate Hudsonの方は、すっかりドスコイ体型になっていて、ちょっと悲しい。 「フレンチ・ウィンドウ展 :デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」@森美術館 (11.4.17)森美術館で開催中の展覧会を観てきた。 フランスの現代美術コレクター団体「ADIAF」が主催する「マルセル・デュシャン賞」の10周年を記念して開催された展覧会で、同賞のグランプリ受賞作家やデュシャン本人の作品が展示されている。 最近の現代美術の展覧会で、何故かしょっちゅう目にするレディ・メイド作品「ビン掛け」や、モナリザにひげを書き足した「L.H.O.O.Q.」など、デュシャンの有名作品も多いし、褐色の肌にアフロヘアーのミシュラン・マン=ブリュノ・ペナドの作品など、観たことがある作品もあり、現代美術の展覧会としては見やすく分かりやすい作品が多いように思う。ただ、その分、オーディオ・ガイドの解説が随分と手抜きな感じがしたのが残念。 感心したのが、パリのコレクターのアパルトマンを再現した展示。いかにも、趣味の良い金持ちらしいシンプルな内装のアパートに、沢山の現代美術が飾られている様子が、生活の中のアートを具現化しているようで、巧い見せ方だと思うし、コレクター団体が選ぶというこの賞の性格をうまく表しているように感じた。 東京も、かなり日常が戻ってきましたが、節電の徹底は継続中。デジタル・サイネージ的な物がことごとく消灯され、点灯していない液晶画面があちこちに見られる様子は、行き過ぎた大量消費社会(あるいはマッチポンプ的広告業界に侵食されている世の中)の残骸のようで、ある種の趣すら感じる今日この頃です。 |