IN/OUT (2010.12.12)

年末に向け、何かと忙しく、1日36時間あれば…、あ、残業時間が12時間増えるだけか… などとグルグル考える今日この頃です。


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「ノルウェイの森」10.12.11

村上春樹のベストセラーの映画化を観てきた。

原作は、彼の小説の中で、発行部数はダントツだが、「唯一のリアリズム小説」でもあり、これを村上春樹の代表作と呼ぶのは、ファンとしてはちょっと引っかかりを感じてしまうような位置づけではないだろうか(矢野顕子ファンにおける「春咲小紅」のようなものか)。ただ、他の長編小説がどう考えても映像化困難なだけに、これは観ておかなければならない映画だろう。怖い物見たさに近い感覚を抱いて映画館へ向かう。

菊地凛子=直子、水原希子=緑というキャスティングの微妙さ、松山ケンイチの滑舌の悪さと訛りなど、気になるところは多いし(主役級の三名とも、表情や演技自体は素晴らしいと思うのだが…)、いくつかのシーンは、私自身が抱いていたイメージと決定的に違うビジュアルだったりもした。しかし、ベトナム人監督 トラン・アン・ユンの描く落ち着いた色彩と凝った構図の絵がとても美しく、劇中に流れるCANやThe Doorsの楽曲も効果的で、全体としては良い映画だと思う。長い原作から巧みにポイントを抽出した脚本も、納得感のあるものだ。とりあえず、誠実な映画化がなされたことが、村上春樹好きとしては嬉しい。

ただ一つ、強く苦言を呈したいのが、糸井重里、細野晴臣、高橋幸宏のカメオ出演だ。話題作り以外に、一体何の意味があるのか? 彼らの登場シーンだけ、観ている側の感情の流れが乱されてしまう。当然、トラン・アン・ユン監督の意図とは思えず、提供に名を連ねるフジテレビ、電通、住友商事あたりの浅知恵だろう。映画を馬鹿にするなと言いたい。



もう一つ、気になってしまうのが「宇宙戦艦ヤマト」の実写映画化。確か、自分のお小遣いで観に行った最初の映画が、アニメ版「宇宙戦艦ヤマト」だった記憶があるだけに、興味はあるのですが、その改変ぶり(森雪や佐渡先生のキャスティング、アナライザーの造形、ガミラス星人の設定など)の噂を聞くに付け、怖すぎて観に行く気になれないっす