IN/OUT (2010.2.14) |
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待望の矢野顕子の新アルバム発売。 しかし、昔のような高揚感をいまいち覚えないのは、感受性が鈍ったのか。あるいは、LPジャケットから内袋を取り出して、レコード盤にスプレーをかけて埃をクリーナーで拭き取り、レコード針も清掃して、おもむろにターンテーブルに乗せるという儀式が、とりあえずMP3化してiPodへ転送という味気ない行為に変化してしまったからか? 最近のOUT"Océans" (10.2.13)フランスの海洋ドキュメンタリー映画を観てきた。 行ったのは、品川のプリンスシネマ。映画鑑賞前に、まずは隣の水族館=エプソン 品川アクアスタジアムで、生の魚類を鑑賞。規模が小さく、エンターテインメント色が強すぎる感はあるが、夜遅くまで開いている水族館というのは貴重だ。できれば、映画館同様、レイトショー割引をしていただきたいところである。気分が盛り上がったところで、映画館へ。 しかし、映画は最悪だった。「映画」というものをなめているしか思えないぶつ切れの編集で、フォローなしに放り出される映像も多い。自然保護的なメッセージが込められているのだが、ドキュメンタリーであることを放棄したような恣意的な伝え方で、あまりにも稚拙だ。音楽のセンスも、困ったとしか言えないレベル。センチメンタルなだけで情報量に乏しいナレーションも、真剣にメッセージを伝えようとして言葉を吟味したとは思えない薄っぺらなものだ。そして、なによりも困ったのが、日本語版ナレーターを務める宮沢りえ嬢。女優としては優れた人かもしれないが、ナレーターとしては、滑舌が悪く、イントネーションのおかしいところも多く、もう最悪。眠気を催す退屈な映像が続くのだが、宮沢りえの滑舌の悪さが気になって、睡魔が吹き飛ぶという皮肉な状況が100分続く。 確かに映像は良く撮れているし、世界中の海でこれだけの撮影をこなしたスタッフの努力は素晴らしいと思う。しかし、それを、こんな編集で、適当な言葉と音楽を付けて、劇場公開するのは犯罪だろう。昔、テレビで観ていた「クストーの海底世界」のような作品を期待していたのだが、すっかり裏切られてしまった。 ライナーノーツの文字が、CD時代になって一層小さくなる一方で、こちらの眼の方は老化していくというのも、困った状況です。 |