IN/OUT (2010.1.3)

気がつけば、2010年。SFの中にしか存在しないと思っていた年が、いつの間にか現実に。


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"Avatar"09.12.29

James Cameron監督の新作を観てきた。

その驚異的な映像を堪能すべく、IMAX 3Dでの上映館で鑑賞。単なる3D上映館より、400円割高だが、その価値が十分にある、とてつもない映像だった。どこまでが実映像で、どれがCGで、何がミニチュア撮影なのか、識別不可能。300億円を投じ、立体映像の中に完全に一つの世界を構築してしまったCameron監督の執念には、本当に恐れ入ってしまう。

ということで、その圧倒的な立体映像を楽しむだけで元が取れる作品だ(眼は相当疲れるが…)。さらに、DNA操作で作り出された肉体を遠隔操作するという「アバター」の仕掛けや、地球から遠く離れた星での鉱物資源を巡る原住民との関係など、かなり複雑な設定を冒頭で手際よく説明し、2時間40分という長丁場を一気に語りきる演出も、すごい。

ただ、その気になれば、欠点をあげつらうのも簡単だという脇の甘さがある。まず、物語面が弱いのが、Cameron監督らしい。ストーリー自体は、これまでも散々語られてきたような、意外性のない物語だ。また、伏線のつもりなのだろうが、中盤で「主人公は、ラストでああいう事をやって、部族をまとめ反撃するんだろうな」というのが分かりきってしまう展開と、そのラストに向けての一か八かの大博打のはずのシーンが淡泊過ぎるのは、いかがなものか? SFという観点で見ても、異星の生態系や異星人の文化が、想像力の限界と言うか、ご都合主義と言うか…。ただ、登場するメカニックや、男勝りの女コマンドなどの人物造形が、これまでのCameron作品で見覚えのあるものばかり、というのは、欠点と言うよりは作家性と言った方が良いのかもしれない。

あと、興味深いのは、宮崎アニメとの共通点。特に「風の谷のナウシカ」とは、テーマもビジュアルも、偶然なのか参考にしたのかパクリなのか、似通った部分が極めて多い。

いずれにせよ、映像的には、映画史上エポック・メイキングな作品であることは間違いなく、出来る限り大画面で体験すべき映像だろう。今回は川崎まで観に行ってきたが、品川プリンス内にあったIMAXシアターが無くなってしまったのが、つくづく残念だ。



カレンダーの関係で、正月休みは短かったものの、とりあえず帰省。航空行政の変化により地元空港が廃止・縮小されると不便だなと思いながら、飛行機で。

自覚している以上に滑舌が悪いらしく、機内サービスで明瞭に「お茶」と言ったつもりが、「林檎ジュースですね」と飲みたくもない甘い物を渡され、でもそこは小心者故、笑顔で受け取ってしまう今日この頃です。