IN/OUT (2009.12.6) |
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冬の矢野顕子強化月間突入です。 最近のIN"Capitalism: A Love Story" (09.12.5)Michael Moore監督の新作を観てきた。邦題は「キャピタリズム/マネーは踊る」。 米国社会が抱える問題に対し、ブラック・ユーモアを詰め込んだドキュメンタリー映画を通して戦いを挑み続けるMoore監督。今回は、サブプライム問題やリーマン・ショックで全世界の経済を混乱に巻き込んだアメリカの「資本主義」に切り込む。 担保の家を差し押さえられる人々や、不当解雇に対して座り込みストで対抗する労働者達を写すカメラは、一方で、公的資金を投入された大手金融機関の経営者ら「富裕層」も直撃。日本からは見えにくい、行き過ぎた米国の資本主義の在り方を厳しく糾弾する。映画の根底には、最初から最後まで激しい怒りが充ちているが、それだけの堅苦しいドキュメンタリーではなく、合間に挿入される黒い笑いが緩急を付けるところが、まさにMichael Mooreの名人芸。 ただ、米国と比較して欧州や日本を賛美したり、オバマ大統領への過大な期待を表明するところは、ちょっと無邪気すぎるような気もする。 デトロイト出身のカリスマ・パンク・ロッカー、Iggy Popの歌で始まり、プロテスト・ソング・シンガー、Woody Guthrieのイエス・キリストをテーマにした曲で終わるこの映画からは、Moore監督の、過激なパフォーマンスの裏に潜む、純朴なカトリック教徒としての顔も垣間見える。客観的ドキュメンタリーというより、作家性が前面に出た作品だと思う。 因みに、公開初日ということもあり、反資本主義の強い主張を持った人達も映画館には多く来ていたようで、隣の席の夫婦が、エンド・クレジットに流れる「インターナショナル」を一緒に口ずさみだしたのに吃驚。 強化月間第一段は、日曜の地方遠征。開演時刻が16時という遠征組に優しいタイムテーブルに感謝。 |