IN/OUT (2009.7.19)

海の日の三連休。ちょうど忙しい時期と重なって、こんな時に祝日なんか設定するな、と逆ギレする今日この頃です。


in最近のIN

"La Ragazza Del Lago"09.7.18

本国では各賞を総なめにしたという「名作」イタリア映画を観てきた。邦題は「湖のほとりで」。

イタリアの小さな村で見つかった少女の死体。捜査にあたる刑事は、住民達が抱える様々な人間模様を目の当たりにすることになるが、彼自身の家庭生活にも深刻な悩みがある。

基本的には、冒頭で事件が起こり、捜査の末に真犯人が逮捕されるというミステリーなのだが、謎解きが物語の中心ではない。捜査の過程で浮かび上がる、村人達と刑事自身が抱える様々なドラマを、丹念に紡いでいくストーリー。監督のAndrea Molaioliは、助監督経験が長く、これが初監督作だそうだが、映画にそういった気負いは感じらず、丁寧に静かに物語は展開していく。悪く言えば、退屈とも表現できそうなストイックな演出だ(実際、館内には、かなり大きな寝息を立てている人が…)。

抑えた役者の演技で描かれる、様々な悲哀に満ちた人間ドラマを包み込む映像が美しい。タイトルにもある湖の風景を筆頭に、計算し尽くされた映像美だ。

もう一つ特徴的なのが、音楽。弦楽合奏に電子楽器を組み合わせた印象的なもので、アメリカ映画や邦画とは違う、イタリア映画ならではのテイストを感じた。


"Wallace & Gromit : A Matter of Loaf and Death"09.7.18

ウォレスとグルミット」の新作短編を観てきた。パン屋連続殺人事件を描くこの作品、タイトルは、"A Matter of Life and Death"(1940年代の映画のタイトルや、Iron Maidenのアルバム名にもなっている慣用句)の、"Life"を"Loaf"に置き換えた頓知だが、邦題は「ベーカリー街の悪夢」。まあ、分からなくは無いが…

ウォレスとグルミットは、Nick Park監督の下、Aardmanが制作する粘土アニメーション。今回の新作は、2008年のクリスマスにイギリスでTV放送され、58%の視聴率を記録したという作品。日本では、旧作の「A Grand Day Out(チーズホリデー)」、「The Wrong Trousers(ペンギンに気をつけろ!)」、「A Close Shave(危機一髪!)」との四本立てで公開。因みに、先ほどの「湖のほとりで」と同じ劇場でレイトショーとして上映されているので、続けて鑑賞してきた次第。

元がTV番組なので、映画館で上映するのはいかがなものか、とも思ったが、やはり、クオリティの高い作品だ(私は、新作以外の三作品は全てDVDで所有しているのである)。グルミットは、一見、子供向けのキャラクターのように見えるが、実際の所、お子様向けのサービスというのは、劇中、ほとんど無い。イギリスらしい、シニカルな笑いが底流にあって、そこが幅広い年代に受け入れられているのだろう。今回の作品でも、悪趣味な花柄装飾を押しつけられて憤るグルミットの姿などは、子供にはピンと来ないと思う。また、ウォレスとグルミットの関係が、良きパートナーでありながら、飼い主と飼い犬という一線を越えないところも、いかにもイギリス製シチュエーション・コメディという感じだ。

一時は、Dreamworksと組んで、ハリウッド大作も指向したAardmanだが、現在は提携を解消したとのこと。やはり、彼らの作品は、これぐらいの規模の短編でこそ味わいを発揮すると思う。粘土アニメでありながら、殺人事件が起こったり、ヒッチコック風の作劇の中、"Aliens"のパロディ・シーンがでてきたり、やりたい放題ができたのも、ハリウッド離れしたからこそ、ではないだろうか。

なお、日本での配給は、三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーが行っており、この日は、公開初日特典として、スタジオジブリが発行する非売品雑誌「熱風(GHIBLI)」と、ティーバッグ二つ、ポストカードがプレゼントされた。紅茶が、意外なほどクオリティーが高く美味しかったのも嬉しかったが、「熱風」の中に、三谷幸喜や、広岡達三Xいしいひさいちの寄稿を読むことができたのが、望外の幸いだった。



職場の人達と、今年のスケジュールは厳しいなぁとぼやきつつ、よく考えてみると、毎年、業務日程自体に大きな変動がある訳じゃ無し。結局、毎年、同じようにぼやいている三連休なのでした。