IN/OUT (2009.6.28)

駅の通路に張られている大きな横断幕。「ルールを守って国際化」。入国管理局のキャンペーンなのですが、一体、誰に向けて、何の効果を狙っているのか? 日本語をすらすら読める不法入国者が「そうだ、ちゃんとビザを取らなければ!」と反省するのか、はたまた企業の担当者が「うちの出稼ぎ外国人の管理をちゃんとやらなければ!」と自戒するのか。

こんな、ターゲットも効果も絞られていないキャンペーンは、民間じゃ通らないと思います。お役所のキャンペーンは、税金使っているのだから、自己満足だけでやらないでいただきたいと思う今日この頃です。


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「ヤエル・ナイム 来日公演2009」09.6.23

MacBook AirのCMソング「New Soul」や、日産cubeのCMソング「ピクニック『丘を越え、ゆこうよ、口笛吹きつーつー』の、あのメロディ。英語タイトルは"Lazy Day")」で知られる、Yael Naimの来日公演を観に、渋谷クラブ・クアトロに行ってきた。

まずはオープニング・アクトのEmi Meyer。日本人とアメリカ人のハーフで、シアトル育ち。シンプルなピアノ弾き語りで20分ほどのステージ。MCは日本語だったが、彼女の第一言語はあくまでも英語のようだ。英語で曲を作る方が"Natural"だと語っていたが、一曲、日本語の作品「庭園」も披露。ジャズをベースにした聴きやすいヴォーカルだが、ピアノ演奏が固いのと、やや単調な感じが残念。

続いて、本編、Yael Naim登場。バックは、ドラム・パーカッション、キーボード、ベースの三人。最初の歌声を聴いた瞬間、申し訳ないが、Emi Meyerとの格の違いを実感。その声自体が、はっきりとした個性と魅力を持ったミュージシャンだ。ギターを抱えたスタンディングと、ピアノの弾き語りを交互に披露するスタイル。

彼女は、フランス生まれ、イスラエル育ちのシンガー・ソングライター。実のところ、私は、CMで有名になった二曲と、Britney Spearsの曲をカバーしたことで話題になった「Toxic」しか彼女の作品を知らなかった。その独特の歌声に惹かれてライヴに行ったのだが、ステージは予想とは全く違うものだった。もっと、お洒落で気取った感じのものを想像していたのだが、とにかくフレンドリーでハッピー。会場には幼児連れの客がおり、偏狭な私は、演奏中に騒いだら嫌だなぁと思っていたのだが、案の定、途中で大声を発する子供。しかし、その声を聞いた瞬間、反射的に満面の笑みを浮かべ、子供の姿を探し、声をかけるYael Naimとバンド・メンバー。その姿に、人柄があふれ出ている。

ステージ前半で、最大のヒット曲「New Soul」を早々と披露し、この後、持つのかと一瞬思ったが、それは杞憂と言うもの。バンド全体が、とても優秀なライヴ・パフォーマーで、初めて聴く曲も、全く飽きさせない。会場と共に合唱する箇所が何度もあったが、実に自然に観客を巻き込んでいく。また、それに応える客層も素晴らしかった(MCの英語を理解できる人の比率が高い上に、耳が良い人も多く、Yael Naimが一度歌うだけで、コーラスもバッチリ)。

アンコールは、再度、アレンジを変えての「New Soul」から、バンド・メンバーのソロ回し(全員、器用で、笑いが絶えない楽しいソロ)、そして、会場を三つのパートに分けての合唱大会で終了。

普段は、コンサートでの観客の合唱には冷ややかな態度を取ることが多い私だが、今日は、本当に楽しかった。Yael Naim。大したパフォーマーだ。楽しさに満ちているという点では、近年、最高のライヴだった。



輪をかけて凄いのが、浜松町駅前にある石碑。地球と鳩がデザインされた立派な石碑に彫られているのが「広げよう納税の輪」。これを見て、正しい申告を誓う人より、こんな物を建てるために使われるのなら税金を払いたくないと思う人の方が多いに違いないと、前を通る度に考えてしまいます。