IN/OUT (2008.12.21)

更新毎に、連番を振っているこのHTMLファイル。今年も、ついに50番台に。ほんと、押し迫ってきました。


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"Body of Lies"08.12.20

Ridley Scott監督の新作を観てきた。邦題は「ワールド・オブ・ライズ」。

中東を舞台に、対テロ情報戦の最前線で体を張るCIA職員 Leonardo DiCaprio。ワシントンの本部から電話で指示するだけの Russell Crowe。そして、ヨルダン情報局の Mark Strongの三者が、敵を欺くにはまず味方から、と言わんばかりに、様々な仕掛けを巡らせ合う。DiCaprioの熱血ぶりも、Croweの人を食った態度も、Strongの一筋縄じゃいかない雰囲気も、皆、適役。その演技合戦だけでお腹一杯。

この手の作品にありがちな荒唐無稽になりすぎることなく、緊張感を維持する展開と、鋭い映像美は、さすがRidley Scott監督。

ということで、役者も監督も、その持ち味を見事に発揮した(映画の宣伝では、DicaprioとCroweばかりが取り上げられているが、実は、一番の曲者は、Mark Strong扮するヨルダン情報局員だ)作品だと思う。ただ、手堅くまとまっている分、いまいち、インパクトに欠けるような気もする。



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"The Day the Earth Stood Still"08.12.19

1951年の同名の名作をリメイクしたSF映画を観てきた。邦題は「地球が静止する日」。なお、1951年版の邦題は「地球の静止する日」。微妙に「の」が「が」に変わっている。

私は、オリジナル版は未見である。ただ、その粗筋や、友好的宇宙人の代名詞ともなった「クラトゥ」、ロボット「ゴート」などについては、一般常識として知っている。そのため、冷戦時代に作られたオリジナルから、どのような変更がなされているのかが、興味の中心だった。

結果はひどいものだった。冷戦時代の核の脅威に代わり、新作では環境問題が重要なキーになっているのは良いとして、そこから先の脚本の詰めが甘すぎる。冒頭の、Jennifer Connellyが緊急招集されるシーンは緊張感があるのだが、よく考えると、合衆国政府が科学者を集めて何をさせるつもりだったのかが、不明瞭。宇宙からの使者は、昔から人間界に紛れ込んで調査をした結果、人類に対してある決断を下すのだが、重大な決断の割には根拠が脆弱。合衆国の利害にしか関心がない超タカ派のKathy Batesの後半での行動も説明不足。Keanu Reeves扮するクラトゥが行う最終判断も根拠脆弱。とにかく、人類の命運がかかった問題なのに、どいつもこいつも、もっと真剣に考えろ、と怒りたくなる底の浅さ。

そして、何よりも私が耐え難かったのは、この人類存亡の危機に際して、重要な役割を担ったのが、Jaden Smith(Will Simithのご子息)扮する馬鹿ガキということ。こんな奴の継母との家庭内問題が、全人類の運命を左右するなんて、勘弁してもらいたい。

派手な特撮で目を惹いて、環境問題と家族の絆で感動させとけば、SF超大作が一丁上がり、と言わんばかりの製作者達は、映画撮影期間、思考が静止していたに違いない。



カレンダーの並びで言えば、かなり良い感じのこの年末。経済状況がこんなことにならなければ、相当の長期休暇も可能だったのでは、と夢想するのも空しい今日この頃です。