IN/OUT (2008.7.27)

先週は、以前の職場の同僚達と久しぶりに再会する機会が何度かありました。変わっていない人もいれば、かなり変わった人も…。果たして自分はどう映っていたのでしょうかね。


in最近のIN

Rick Wakeman at Billboard Live TOKYO08.7.21

Rick Wakemanのソロ公演を観に、ビルボードライブ東京に行ってきた。

Rick Wakemanは、YESの黄金期を支えたキーボーディストとして有名。1972年のアルバム "Close to the Edge"(邦題「危機」)は、私にとってはロック史上最高の一枚と呼べる作品だ。また、同じく1970年代に発表されたソロ・アルバム"The Six Wives of Henry VIII"(邦題「ヘンリー八世の六人の妻」)、"Journey to the Centre of the Earth"(邦題「地底探検」)、"Myths and Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table"(邦題「アーサー王と円卓の騎士」)は、いまだに愛聴盤だ。さらにいえば、初期のDavid Bowieのアルバムでの演奏も印象深い。ということで、ロック・キーボーディストとして最も敬愛する彼のソロ公演、最近の活動には衰えを感じ、不安があるものの、観ないわけにはいかない。

ビルボードライブ東京に来るのは初めてだが、毎晩二回公演、演奏前に食事を楽しむ時間があるという、ブルーノート東京と同じコンセプトの店だ。値段の割には食事が美味しくないというところも共通している。席数はあまり多く無いが、縦に三層になっていて、どの席からもミュージシャンを身近に感じられそうな所は良さそうだ。

ステージ上には、正面と左右に6台のキーボードを配し、さらに舞台脇にグランドピアノを配置。六本木の夜景が見える舞台後方のガラスにカーテンがかかり、客電が落ち、場内に「蛹化の女」じゃなくて、ヨハン・パッヘルベルの「カノン」が流れ始める。ビール腹を黒ずくめの衣装に包んだRick Wakemanが登場し、そのままグランドピアノに向かい、演奏開始。いかにもWakemanの手癖炸裂のカノンだ。

曲毎に、マイクを持って簡単な説明をしながら、ステージは進む。"Henry VIII"から、三人の妻("Catherine Howard", "Jane Seymour", "Catherine of Aragon")、"King Arthur"から、"Merlin the Magician"、"Return to the Centre of the Earth"から"The Dance of a Thousand Lights"、さらに、YESの"And You and I", "Wonderous Stories"、ABW&Hの"The Meeting"、Cat Stevensの"Morning Has Broken"を、キーボード群とグランドピアノの間を行き来しながら演奏(記載は、演奏順とは違います)。

本人も、「バンドがいないから」とか「歌わないよ」と何度も言っていたように、やはり、ソロ公演だと音の厚み的には物足りない。ドラムとベースがいれば、もっと「ロック公演」になったと思うのだが。しかし、個人的に好きな曲ばかり、特に、マイナーと思われる"The Dance of a Thousand Lights"(この曲のみ、オーケストラのパートを「カラオケ」で流しながらの演奏)まで演ってくれたのには大満足。"Merlin the Magician"の熱演ぶりや、"The Meeting"の演奏前の、病気療養中のJohn Andersonを気遣う発言など、グッとくる箇所も多数。

ラストは、意外にもThe Beatlesの"Help!"と"Eleanor Rigby"。アンコールに、Cirque Surrealのために書いた曲を演奏し、終幕。おそらく、思い入れが無い人が観たら、コスト・パフォーマンスに欠けるステージだっただろうし、何より、「ロック」らしくは無かった。しかし、こぢんまりとした会場で、昔からのファンに囲まれて演奏する様は、まるでプライベート・パーティーに来ているかのような親密さがある。その親密さの中、最初から最後まで、あの手癖全開のWakeman節に浸ることができ、大変に感慨深い。あまりに感慨深かったので、ついつい終演後のサイン会にも参戦。握手もしてもらい、ミーハー気分で帰宅。



それ以上に気になったのが、すぐには名前が思い出せず、しばらく会話をしてようやく気づいた人がいたこと。記憶力は確実に衰えてしまったみたいだ…