IN/OUT (2008.7.20)

失くし物をして、いささか凹む今日この頃。理論的には無くなるはずがないと思うのだけど、出てこない。買い直せば済むとはいえ、悲しい。


out最近のOUT

"Manufactured Landscapes"08.7.19

産業化によって大きく変化してしまった風景を撮り続けるカナダの写真家 Edward Burtynskyが、中国を取材した模様を収めたドキュメンタリー映画を観てきた。邦題は「いま ここにある風景」。微妙に原題のメッセージ性が変質してしまうタイトルのような気もする。

冒頭、ナレーションも音楽も字幕も無く、ただ、巨大な工場の内部をカメラがゆっくりと移動していく。ずらりと作業員が並んでいる、いかにも中国らしい、人海戦術に頼った生産ラインだと思ってみていると、この画面が終わらない。どこまでカメラが横に移動しても工場の端にたどり着かないのだ。このシーンだけで、7分ぐらい。我々の常識を遙かに超えた「中国の巨大さ」を見せつける演出だ。

この後、巨大工場での朝礼の様子、巨大な廃棄物の山の中で黙々と仕分け作業をする人々、巨大ダムの建設現場、急速な変化を遂げる上海で古い家に住み続ける人と成金不動産業者の対比などが、映し出されていく。どれも、そのスケールの桁違いさに、思わず笑ってしまうほど。とにかく、何もかもが馬鹿みたいに巨大な中国で、急速な産業化・都市化が進むことで変わっていく風景を、カメラは切り取っていく。

ただし、評論めいたナレーションや字幕は無い。中国のような巨大な国が産業化を進めることの危険性を、既に高度な産業化を遂げた国の立場から安易に語ってしまうことが孕む矛盾を避け、視覚的ショックを与えることで観客に考えるきっかけにしてもらう。そういう映画だろう。工場で働く広報的立場の女性社員が、これまた中国らしい、ちょっと下手なプロパガンダ風のしゃべり方で自社の説明をする様子を何度か挿入するところなどに、ある種の意図なり、西洋の「上から目線」が透けて見えるものの、志も高いし、映像も見事なドキュメンタリーだ。

ただ、いかんせん、こちらの体調が悪かった。睡眠不足が続いた身体で観ると、冒頭の延々と続く巨大工場の様子だけで、猛烈な睡魔に襲われる。その後も、淡々と現実を切り取った画面が続くため、断続的に「落ちて」しまった。申し訳ない。



無くなるといえば、自宅で使っているカトラリーも、何故か減っていく。器のように割れる物なら分かるけど、ナイフやフォークがいったいどこに消えていくのか? 実は小人が隠しているのか? 寝ている間に靴磨くとかしてくれるなら、ナイフを盗るのも大目に見るのですが…