IN/OUT (2008.7.13)

先週の出張は、言うなれば世界一周。一週間で、8時間時差 → 5時間時差(日本とは13時間)を回るのは、結構きつい。しかし、利用する航空会社が三社とも初めてというところに、出発前は興味津々。


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ヴァージン・アトランティックで行く英国08.7.2-5

成田からヒースローまでは、ヴァージン・アトランティック航空。サービスに定評のある航空会社なので楽しみにしていた。

搭乗してみると、機内は、赤を基調にメタリックと白を配した、モダンでポップな内装。さすがにおしゃれだ。離陸前に流される安全案内のビデオも、ジョークを交えたアニメになっていて気が利いている。また、食事の容器が透明なプラスチックなのに、貧乏くささを感じさせないデザインになっているところもさすが。食事自体も、エコノミーにしては、かなりまともな味だったと思う。カウンター・バーが設置されたアッパー・クラスにも、いつの日か乗ってみたいものである。

オン・デマンドの機内エンターテインメント・システムが、とても工夫を凝らしたものなのだが、目指す理想に対し、ハードの性能が追いついていないのか、反応速度が遅く、しばしば、システム・フリーズ → 再起動を繰り返したのが残念。

離陸前、給油が完了するまでは膝掛けの使用を禁止するなど、安全面の配慮も他の航空会社とは違い、実に個性的な航空会社だと実感。SQとマイレージ提携しているところも個人的には好ましく、ヴァージン・アトランティックには、かなりの好感を持った。

英国滞在中は、空港近くのホテルと郊外にあるオフィスの往復のみで、ロンドン市街には立ち寄らず。それでも、フランス料理・スペイン料理・イタリア料理×2回の夕食、さらにオフィスでケータリングしてもらったインド昼食も美味しく、(食事の評価が低い英国だが、要はイギリス料理を食べなけりゃ良いのだ)、良い感じで過ごすことができた。



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USエアウェイズで渡る大西洋08.7.6-7

引き続き、米国ニュージャージー州へ向かう。ヒースローからフィラデルフィア国際空港へは、USエアウェイズを利用した。

実際、乗ってみると、内装に、洗練やおしゃれといった要素は皆無。食事は、大味ながら、可もなく不可もなく。機内エンターテインメント・システムはオン・デマンド方式だが、ヘッド・セットは無料で配られるのではなく、一つ5ドルで販売するというセコさ。私も含め、最近は自前のヘッドホンを持ち歩いている人も多いから、合理的とも言えるのだろうが…

客室乗務員の態度も事務的かつ不親切。(事前に下調べしてない私も悪いのだが)米国入国に必要な二種の書類の内、一つしか渡してくれず、入国審査でトラブる羽目にあってしまった。それにしても、米国の入国審査の意地悪質問にはイライラさせられる。

それでも、USエアウェイズで正解ではあったようだ。同じ日、同じルートで英国航空を使った同僚がいたのだが、彼は、荷物が届かなかった。いや、正確に言うなら、満席のフライトで荷物がオーバーしてしまったため、一部、積み残されてしまったとのこと。そんなもの、到着してから告げられても困ってしまう。その日は50ドルをもらい、荷物自体は、翌晩、ホテルに到着したそうだ。

何はともあれ、オレゴンを引き払って以来のアメリカ上陸だが、出張地自体は、フィラデルフィア国際空港から車で30分ほどのパッとしない町。二泊したが、夕食は韓国料理と中華料理で面白みは無い。アメリカナイズされた中華は、ある意味、米国らしい味で懐かしくはあったが…。もっとも、旅程の後半ともなると、時差と昼間の仕事疲れで、食事や町を楽しむ余力は、あまり無い。


ユナイテッドで戻る日本08.7.8-9

宿泊場所から車で30分のフィラデルフィア国際空港からは日本への直行便が無い。帰国の選択肢としては、フィラデルフィアから乗り継ぎして帰るか、車で1時間ちょっとかかるニューアークまで行って直行便で帰るか。私は、車移動の方を短くし、フィラデルフィアからダラス(ワシントンD.C)経由のユナイテッド航空便を選択した。

朝、フィラデルフィア空港に行ってみると、ユナイテッドの窓口には無人のチェックイン機が並んでいるだけ。海外でいきなり勝手の分からないマシンを使うのは嫌なのだが仕方がない。予約番号を入力してみる。…出てきたのは「ダラス行きのフライトは欠航になりました」との表示。さらに、「問題が生じた場合は、横にある受話器を取って、オペレーターと話せ」との指示。しかし、受話器を取っても、「ただいま混み合っております」の自動アナウンスが繰り返されるばかり。これには参った。

結局、数分後、通りかかった空港職員に聞いて、ユナイテッドの別の窓口に案内してもらう。そこで、シカゴまで行って乗り換えれば、ほぼ、元の予定と同じ時刻に成田に帰れる便があることが判明。取り急ぎ、チケットを発券してもらい、荷物検査の列に並ぶ。乗るはずだったダラス行きのフライトより一時間以上早い出発だったので、かなりギリギリ。早めに空港に行っていて良かった。それにしても、突然の欠航は日常茶飯事なのだろうか。対応してくれた職員、誰一人、謝りの言葉はない。

フィラデルフィア - シカゴ間は1時間半ぐらいのフライトで、予定通りに到着。先ほどもらった搭乗券が真ん中の席だったのを通路側に換えてもらうべく、次のゲートをダッシュで探し、無事、変更できた。長距離エコノミー・フライトで、真ん中の席になって、しかも隣が巨漢だった日には辛さ倍増だ。今回は、三便とも通路側が取れて、隣に座ったのも小柄な人ばかりだったのは、幸いだった。

ユナイテッドの機内も、やはり内装にお洒落さは皆無。座席のピッチもかなり狭い。機内エンターテインメント・システム用のヘッドセットは無料で配ってくれるが、オン・デマンド方式じゃないのが古くさい。昼食二回と合間に間食が出されたが、その間食がカップ麺。パッケージにはひらがなで「きつね・らーめん」と書いてある…。客室乗務員がお湯を注いで回り、待つこと4分。ラーメンと言うよりは、オリジナルのカップヌードルに近い味のスープと麺。その上に、甘辛く煮たお揚げさん。しかし、これはこれで、無くは無いという気がする。それ以上に凄かったのが、最後の昼食で頼んだパスタ。マカロニとトマト、チーズ、その他野菜を一緒にオーブンで仕上げたような料理だったが、まぁ、味付けも食感も、私が今まで食べたパスタと名の付く料理の中で、間違いなく、ぶっちぎりに不味い。「美味しくない」のではなく、「不味い」。ある意味、これを客に供する度胸が凄い。

米系の航空会社は、過当競争の結果、サービスが落ちていると聞いていたが、その評判はまったく間違いないと確信したのである。



この程度の小出張でも、村上春樹氏の名言「僕という人間を疲弊させるさまざまなものごとを、自然なるものとして黙々と受容していくようになる段階こそが、僕にとっての旅行の本質なのではあるまいか(「辺境・近況」)」に深く首肯してしまうのは、オーバー・リアクションですかね。