IN/OUT (2007.11.18)

近所の水辺にユリカモメが増えて、冬が近づいたことを感じる今日この頃です。まぁ、カモメが冬鳥ということを知ったのは、ここに引っ越してからなんですが。


in最近のIN

"Vacancy"07.11.17

スナッフ・ビデオを題材にしたB級サスペンス映画を観てきた。邦題は「モーテル」。

人里離れた寂れたモーテルで、道に迷った旅行者を犠牲者に、実際の殺人の映像=スナッフ・ビデオが撮られているいう設定は、いかにも都市伝説風のものだ。そんな、ありきたりのテーマ一発で、罠に落ちた夫婦が果たして脱出できるのか、一切、寄り道なしの直球勝負で描く。すれた観客が、どんでん返しや意外な展開を予想するような場面でも、外連味なし。製作者側に工夫が無いというよりは、敢えてシンプルに徹することで、逆に不安感が加速する効果を狙ったのだろう。

85分という短めの上映時間も含め、TV東京あたりでオンエアされるのが似合いそうな作品だが、こういうのを映画館で観るのも、嫌いじゃない。特に、レイトショーで、良いタイミングで悲鳴を上げる女性客が何人かいたのが、期せずして雰囲気を盛り上げてくれた。


"Blade Runner"07.11.18

1982年製作のSF映画のデジタル修正版「ブレードランナー ファイナル・カット」を観てきた。

最初の公開時、映画会社の意向で、監督の意図したものと違うラストシーンにさせられたことなどから、1992年には「ディレクターズ・カット」が製作されたが、今回は「ファイナル」。新たな撮影シーンも追加され、Ridley Scott会心の出来ということだ。しかし、何度も再見しているこの映画。またもや金を払って映画館で観るとは、我ながら、映画会社の集金システムに見事にはまっていると思う。しかし、傑作は傑作なのである。

ヒーローであるべきHarrison Fordが、丸腰の女性を背後から撃ったり、最後の対決シーンでは逃げ回ってばかりと、情けないのに対し、敵役のRutger Hauerの方がかっこよく見えるストーリー自体は、私にはどうでも良い(なお、私は、Deckard = Replicantという解釈には与しない)。どのシーン、どのカットも、それだけで見事な「絵」となる隙のない映像とVangelisの音楽との組み合わせが生み出す圧倒的な世界観こそが快楽であり、やはり、映画館の大スクリーンで体験すべきと再認識した。

「ディレクターズ・カット」と今回の「ファイナル・カット」との違い、新たに編集された箇所などは、それほど気づかなかったが、鳩の飛ぶシーンは、デジタル処理して正解だったと思った。

ちなみに、映画館では、フィルムを使わないフル・デジタルで上映されていた。この方式での上映を観るのは初めてだったが、何の違和感もなく、技術の進歩に感心。



本屋で平積みになっている本の上に鞄を置いて立ち読みしている奴らは背後から頭をはたいて構わないという法律が出来ないものかと思う今日この頃でもあります。